目次

  1. ごきげんよう、お姉さま
  2. JKとか言うけれど
  3. 神さま、仏さま、薔薇さま
  4. 「姉妹」(スール)と呼ばれる伝統
  5. 純粋無垢な乙女たち
  6. まとめ

ごきげんよう、お姉さま

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「ごきげんよう」
「ごきげんよう」


さわやかな朝の挨拶が、澄みきった青空にこだまする。
マリア様のお庭に集う乙女達が、今日も天使のような無垢な笑顔で、背の高い門をくぐり抜けていく。

汚れを知らない心身を包むのは、深い色の制服。
スカートのプリーツは乱さないように、白いセーラーカラーは翻さないように、ゆっくりと歩くのがここでのたしなみ。
もちろん、遅刻ギリギリで走り去るなどといった、はしたない生徒など存在していようはずもない。

私立リリアン女学園。
明治三十四年創立のこの学園は、もとは華族の令嬢のためにつくられたという、
伝統あるカトリック系お嬢さま学校である。

東京都下。武蔵野の面影を未だに残している緑の多いこの地区で、神に見守られ、
幼稚舎から大学までの一環教育が受けられる乙女の園。

時代は移り変わり、元号が明治から三回も改まった平成の今日でさえ、
十八年通い続ければ温室育ちの純粋培養お嬢さまが箱入りで出荷される、
という仕組みが未だ残っている貴重な学園である。

(マリア様がみてる 序文より抜粋)


すみません!いきなりの長文抜粋で失礼いたしました。読み飛ばしてもらっても問題はありません。
この「マリア様がみてる」、原作はコバルト文庫の文庫本でございます。毎巻、この序文から物語がはじまるのです。
マリみてを説明せよ、と言われたらこの序文にすべてが詰まっていると私は思うのですが、要約しますと「カトリック系の女学園に通っていますわたしたちはおしとやかですのよ」ってところでしょうか。
え?そんなんで大丈夫・・・・・・?と思った方もいるかもしれませんが、舞台がカトリックの女子高ってことがわかっていただければここではOKです。
女子高・・・・・・。一部の方にはたまらない響きですよね。では、女子高生について考えてみましょう。

JKとか言うけれど

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「女子高生」と聞くとどんなイメージをお持ちですか?私はですね、「かわいい」、「ピチピチ」、「うるさい(元気)」、「流行に敏感」、「チョベリバ」・・・・・・。
こんなもんですかね。
一方、「女学生」と聞くと、どんなイメージになりますか?

ええ、ええ。そうなんです!こう・・・・・・袴をきた、昔の学生、というイメージになるんですよね。何故か。

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同じ学生であることに変わりはないのに、言い方ひとつで違う感じのものをイメージしちゃうんです。
現代の女子高生たちはもちろん、かわいいし、スタイルが良い子もたくさん。みんな大好きですよね。
今回紹介する「マリみて」の女子高生たちは、袴は着ていませんが、「女学生」でイメージしたほうに近い、女子高生たちです。

スカートの丈はひざより下だし、スマートフォンなんて知りません。
そんな彼女たちが送る高校生活とはどんなものなのでしょうか。そして「リリアン女学園」ってどんな学校なのでしょうね。

神さま、仏さま、薔薇さま

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マリみての女子高生たちが通う、「リリアン女学園」。もちろん女子だけの学校です。特筆すべきは、カトリック系のミッションスクールというところです。
通う子全員がシスターになりたいとかそういったことはないのですが、母親もリリアンだったなど、親戚の伝統のような感じで入学する子たちも多いようです。

このリリアン女学園には、カリスマ的な人気の、全生徒の憧れと言ってもいいような絶大な存在がいます。
それが、【薔薇さま】です。

薔薇さまとは、何か?お蝶夫人のような人を想像する方もいるかもしれませんが、ひとりの人物のあだ名ではなく、学校の生徒会長のことなんです。
リリアン女学園を統率する生徒会は「山百合会」と呼ばれ、三人の代表が選出されます。その三人というのが、

          『紅薔薇さま』(ロサ・キネンシス)。
          『黄薔薇さま』(ロサ・フェティダ)。
          『白薔薇さま』(ロサ・ギガンティア)。

三色の薔薇の色からなるこの生徒会長代わりの役職。それが、薔薇さまです。薔薇の色に優劣はなく、生徒会長が三人という具合です。

「姉妹」(スール)と呼ばれる伝統

生徒会といっても、役職は生徒会長だけではないですよね。副会長もいれば、書記、会計もいます。
そういった役職は、薔薇さまの妹が務めるのです。
妹といっても、学校が同じとは限らないし、在学期間が近くないとダメじゃん!と思いますよね。大丈夫です。ここでいう妹とは、血がつながった姉妹ではないのです。

それが「スール」という制度。上級生と下級生が姉妹の契りを結ぶという、リリアン女学園古くから伝わる伝統なのです。

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姉妹の契りの際はロザリオの受け渡しが行われる

生徒会ではなくても、姉妹の契りを結ぶことはできます。全員の生徒が姉妹関係になっているわけではないのですが、特に山百合会(生徒会)では、妹を持ってこそ一人前とされているので、薔薇さまやそれに憧れる生徒にとって姉妹(スール)の契りは、たいへん重要なものといえるのです。
ちなみに薔薇さまの妹はアン・ブゥトン(つぼみ)と呼ばれます。紅薔薇さまの妹は紅薔薇のつぼみ(ロサ・キネンシス・アン・ブゥトン)。

純粋無垢な乙女たち

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ここまで読んでいただき、ありがとうございます。きっと薔薇さまの呼び方に戸惑ったことでしょう。キネンシスとギガンティアとか・・・・・・。観ていれば自然と覚えますから心配要りません。
最後に第1話の入り口までみなさまをご案内して終わりにしたいと思います。


主人公である福沢祐巳(ふくざわゆみ)には憧れの人がいました。それは現山百合会の紅薔薇さまの妹である、小笠原祥子(おがさわらさちこ)という上級生です。
祐巳は成績、顔、家柄、何をとっても平均的な生徒。一方の祥子はというと、華族出身の家柄に、財閥の娘、正真正銘のお嬢様。容姿端麗なのはもちろん、祐巳だけでなくとも学園中の生徒の憧れの的でした。

そんな祐巳が、ある登校中の朝、上級生に呼び止められます。それはなんと祥子だったのです。
「タイが曲がっていてよ」と身だしなみを正され、このことがきっかけで、祐巳は山百合会に出入りするようになっていく・・・・・・。

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祐巳と祥子はここから絆を育み、誰もが憧れる姉妹になっていきます

まとめ

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いかがだったでしょうか。

学園内では数々のドラマが起きますが、それを彩っていくのは、奇跡でも魔法でも携帯電話でもない、彼女たちの純粋な心。
彼女たちの世界には、邪に染まったものなど一切ない。本当に「乙女の園」と言える場所なのです。
時にもどかしく、切ない物語と、人間関係。
ただの「学園モノ」と言うにはあまりにも綺麗で、儚い作品だと言いたい。

是非、マリア様のようなまっさらな心で、彼女たちの学園生活を見守ってはいただけないでしょうか。