マンガ世界の文学①『赤と黒』まとめ

世界の名作文学を多彩な作家がそれぞれの感性を込めて織りなした名作シリーズ・「マンガ世界の文学」。その第1段に当たる、里中満智子さんが手掛けたスタンダール作品・『赤と黒』と言う、西洋風下剋上の野望を描いた物語について紹介します。

『赤と黒』について

《原題、(フランス)Le Rouge et le Noir》スタンダールの長編小説。1830年刊。貧しい青年ジュリアン=ソレルの野望と恋愛の一生を通じて、軍人か僧侶になるしか出世の道がなかった王政復古期の社会を批判的に描く。

出典: dictionary.goo.ne.jp

農村出身の青年があの手この手で出世を画策するも、いざとなると情や愛に阻まれて、人間関係、こと恋愛に阻まれて悩まされる主人公。ついに彼は、痴情のもつれが原因で自身の身を滅ぼす行動に身を乗り出してしまう…格差社会と情が生んだ軋轢を悲しく描いた物語です。

登場人物・キャラクター

ジュリアン・ソレル
幼少期自身を虐待した父や兄を見返すため、出身地の農村を捨てて下剋上の野望に燃える美青年。
才気煥発で優秀な人間だが詰めが甘く情に流されやすさが見受けられる。
情熱的な性格で、家庭教師を務めた家の細君・レナール夫人や秘書を務めた貴族の娘・マルグリットとは出会って間もなく恋に落ちる。
物語終盤、かつての恋人レナール夫人が自分を裏切り陥れたとのうわさを耳にし、彼女に対して引き金を引き、死刑判決を受ける。

レナール夫人
ジュリアンが家庭教師を務めた役人の妻。貞淑で品行方正な女性だったがジュリアンとの道ならぬ恋に身を投じることに。
やがて彼との関係が露呈してスキャンダルとなったために離れ離れになるが、不倫の事実に対する家族への裏切りのうしろめたさに耐えきれ亡くなった彼女は教会へ懺悔。結果的にジュリアンを断頭台へといざなう役割を追うことになってしまう。

マルグリット
レナール夫人の元を去った後にジュリアンが出会った少女。ジュリアンと燃えるような恋の末に子をなして結婚、めでたく夫婦となるも直後にジュリアンの事件に対峙することになる。快活で気丈な性格。

魅力あふれる主人公・ジュリアン

作者あとがきより、大人の目線から「ジュリアンはカワイイ」と言う意識で描いたとのこと。
美形であると言うルックスの観点だけでなく、大人げない意地を張って損をしてしまうジュリアン。彼のごくごく庶民的ながら高いプライドと鋭い感受性を持つ人間臭さは、多くの読者に共感され受け入れられています。

いかがでしたか?

美麗なイラストと豊かな感情表現に魅せられるコミック版『赤と黒』。昼ドラ的要素が里中満智子さんマジックゆえか非常に情熱的で、切なさとやるせなさをピックアップしたかのような、青春小説っぽさのある少女マンガを読んでいるような感触でした。
原作とは一味違う『赤と黒』、気になった方はお手に取ってみてください♪

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