目次

  1. 中国本土返還前夜の香港を切り取った「キュートな」映画
  2. ストーリーの流れ
  3. 今はもう見られない当時の香港の風景がたくさん
  4. 妖精のようなフェイ・ウォンの魅力
  5. 登場人物たちと「夢のカリフォルニア」が流れる画面を楽しんで
  6. 最後に
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中国本土返還前夜の香港を切り取った「キュートな」映画

「恋する惑星」は、1994年制作の香港映画です。概要・主なキャストは以下の通り。

【原題】 CHUNGKING EXPRESS (重慶森林)
【時間】 101分
【 監督】 ウォン・カーウァイ (王家衛)
【出演】 金髪の鬘の女=ブリジット・リン(林青霞)
     刑事223号(モウ)= カネシロ・タケシ(金城武)
     警官633号=トニー・レオン(梁朝偉)
    フェイ(王靖雯)= フェイ・ウォン(王菲)
     スチュワーデス=チャウ・カーリン(周嘉玲)

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前半は、金城武と林青霞(ブリジット・リン)がメインの「ダークサイド」。そして後半は梁朝偉(トニー・レオン)と王菲(フェイ・ウォン)がメインの「サニーサイド」の世界でストーリーが展開します。
前半と後半では、ストーリーに殆ど接点はありません。
ただ、金城扮する警官モウが馴染みのハンバーガーショップに立ち寄った時、そこでその日入ったばかりの店員フェイ・ウォンとすれ違うその場面だけが唯一のニアミスです。

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ストーリーの流れ

〈重慶マンション:Chunging House〉
刑事223号(金城武)は、雑踏の中で金髪にサングラスの女(ブリジット・リン)とすれちがう。
「そのとき、彼女との距離は0.5ミリ-57時間後、僕は彼女に恋をした」
女は重慶マンションを拠点に活動するドラッグ・ディーラーで、密入国したインド人に麻薬を運ばせる仕事を請け負っている。刑事223号はエイプリル・フールに失恋。ちょうど1か月後の自分の誕生日まで失意の日が続いていた。
金髪の女は啓徳空港へ。しかし、麻薬を渡したインド人の姿はなかった。ほどなく命を狙われた彼女は相手を銃殺し、走り逃れる。

刑事223号と金髪の女は偶然入ったバーで知り合う。恋人を忘れるため、その夜会った女に恋しようと決めている刑事223号に女はそっけない。それでも二人は閉店まで飲み続けホテルに泊る。彼女は眠り込み、やがて静かな一夜が明ける。刑事223号は25歳の誕生日の朝を迎えるが。。。

〈ミッドナイト・エクスプレス:Midnight Express〉
刑事223号は小食店〈ミッドナイト・エクスプレス〉で、新入りの娘フェイとすれちがう。
「そのとき、彼女との距離は0.1ミリ-6時間後、彼女は別の男に恋をした」

刑事633号(トニー・レオン)は店の付近を巡回している。彼にはスチュワーデスの恋人(チャウ・カーリン)がいた。二人には別れの予感があった。ある日、フェイはスチュワーデスが刑事633号にあてた手紙を店主からことづけられる。手紙には彼の部屋の鍵が入っていた。
フェイは刑事633号のことが気になりだしていた。鍵を持って部屋に忍び込む。フェイは口実を見つけては店を抜け出し、彼の部屋で『夢のカリフォルニア』のCDを聞きながら、少しずつ自分好みに模様替えしていく。やがて二人は部屋で鉢合わせ。店を訪れた刑事633号は彼女をデートに誘う。大雨の夜、待ち合わせ場所の店「カリフォルニア」に633号はむかうのであるが。。。

出典: BLOG.GOO.NE.JP

今はもう見られない当時の香港の風景がたくさん

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作品名になっている「重慶森林」。この「重慶」は、香港では「重慶飯店(マンション)」のことを指しています。
ここは現在も存在し、相変わらず猥雑な雰囲気を漂わせています。(※筆者も数年前に訪れました)
しかし、フェイが働くファーストフードショップ、ミッドナイトエクスプレスや、ビルすれすれに飛行機が飛んでいたかつての国際空港・啓徳國際機場、そして映画後半でトニーが待ち人をするバー・カリフォルニアなどはすでに閉店し、解体されてその姿を見ることはできません。
そんな懐かしい香港の風景をこの作品中ではたくさん見ることができます。

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妖精のようなフェイ・ウォンの魅力

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全体を通して色濃く感じられる独特の浮遊感には、フェイの存在が大きく貢献しています。
彼女の動き、話し方、着ているもの、などどれをとっても超キュート!既に20年前の作品になりますが古さを感じさせません。

劇中挿入歌フェイが歌う「夢中人」はこの作品のふわふわしたイメージにぴったり。これ以上の選曲はない!と思えるくらいですが、この曲はもともとアイルランド出身のバンド「クランベリーズ」が90年代に発表して大ヒットさせたものです。オリジナルタイトルは「ドリームス」。
私はフェイバージョンよりも先にクランベリーズバージョンの方を聴いていたので、初めて広東語に乗ったこの曲を耳にした時すごく不思議な感覚だなぁと感じたのを覚えています。

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たまたま手にした「鍵」が、自分が憧れていた警官(トニー)の部屋のものだと知って、彼が留守の間勝手にその部屋に入り込み、勝手に少しづつ(トニーにばれないように)部屋の模様替えをしていくフェイ。
現実問題としては、これは立派な犯罪行為(笑)ですが、フェイがピンク色のゴム手袋をつけて楽しそうに部屋の中を動き回る姿を見ていると、そんなことはすっかりどうでもよくなってしまいます。

登場人物たちと「夢のカリフォルニア」が流れる画面を楽しんで

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ストーリーを追うよりも、ひとつひとつの場面や、人物の表情、その背景、更にそのうしろに流れている音楽などを楽しんで見るといい作品です。
青い空に翻る白いシャツ、トニーの部屋の中で踊るフェイ、夜の街を足早に歩く金髪の女、明け方のハイウェイを小走りに渡っていく金城武・・・所々、はっとするほど印象に残るシーンが随所に現れます。

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最後に

ラストも思わず微笑みがこぼれてしまうような清々しさ。見終わってもしばらくはフェイの歌声が繰り返し繰り返し心の中に響いてくるような、不思議な魅力に溢れた作品です。

まだ見たことがない方、もしこれで興味を持たれたら、一度ご覧になってみてください。きっと幸せな気持ちになれますよ。