【映画紹介】ベルリンの壁崩壊に揺れる人々を描いた映画『グッバイ・レーニン!』の魅力

ベルリンの壁崩壊で歴史に翻弄される人々の日常生活を、可笑しくも切なく描いたドイツ映画『グッバイ・レーニン!』の魅力を紹介します!

映画『グッバイ・レーニン!』とは?

『グッバイ・レーニン!』は、2003年公開のドイツ映画です。本国では、当時の歴代映画興行収入を更新する大ヒットとなりました。国際的な評価も高く、その年のベルリン国際映画祭では、最優秀ヨーロッパ映画賞を受賞しました。また、その翌年の2004年には日本でも公開され、話題となりました。

本作の舞台は1990年前後のベルリンです。1989年11月9日、ベルリンの壁崩壊。その後1年足らずで旧東西ドイツは再統一されることとなりました。たった四半世紀前の出来事ですが、私たち日本人にとっては、歴史に出てくるどこか遠いことのように感じるのではないでしょうか?10月3日に今年22回目の東西統一記念日を迎えたばかりのドイツ。そんな複雑なドイツの歴史を紐解く入門書としてもおススメな映画、それが『グッバイ・レーニン!』なのです!

映画の背景には、東西ドイツ分断の歴史がある

ベルリンの壁に象徴される東西分断の歴史

東西ドイツの両国は、西ドイツが資本主義市場経済を再建し、東ドイツは社会主義計画経済を目指すというまったく違った経済システムをとり、それぞれがイデオロギー(精神的指導理念)において相手を受け入れられないという、抜き差しならない対立関係にあり、しかもそれぞれ西にはアメリカ合衆国、東にはソ連という大国が控えているという世界を二分する対立の最前線に立つこととなった。

出典: www.y-history.net

映画の舞台は、壁崩壊に揺れるベルリン

1989年11月10日、ベルリンの壁崩壊

ベルリンの壁(ベルリンのかべ、ドイツ語: Berliner Mauer)は、冷戦の真っ只中にあった1961年8月13日にドイツ民主共和国(東ドイツ)政府によって建設された、西ベルリンを包囲する壁である。1989年11月10日に破壊され、1990年10月3日に東西ドイツが再統一されるまで、この壁がドイツ分断や冷戦の象徴となった。

出典: ja.wikipedia.org

あらすじ・ストーリー

東ドイツで生まれ育った青年アレックス。夫が西側に亡命してしまった反動で、アレックスの母はより一層社会主義へ傾倒していきます。アレックスが反社会主義体制のデモに参加しているのを見てしまった母は、そのショックから発作を起こし、昏睡状態に陥ってしまいます。そうこうしているうちにベルリンの壁崩壊。西側の文化が流れ込み、激変していく旧東ベルリン。人々は戸惑いながらもやがて順応し、新しい環境を楽しみ始めます。

そんな中、母が奇跡的に意識を取り戻します。社会主義の終焉をまだ知らない母。

体調の優れない母にショックを与えないよう、アレックスはその事実を隠し、東ドイツはまだ存在しているというウソをつき通すことに。母のためにベルリンの街を奔走するアレックス、そして彼に協力する心優しい友人たち。ドイツにしか作れない、面白おかしくもほろりとしてしまうような、そんな心温まる映画です。

資本主義の象徴はコカ・コーラ&バーガー・キング!?

資本主義の象徴「コカ・コーラ」

西側諸国・アメリカ文化の進出!「バーガー・キング」

壁の崩壊後、東ベルリンにも西側諸国の文化が急速に流れ込みました。映画の中でもアメリカを記号的にあらわすコカ・コーラのポスターやバーガー・キングなどが象徴的に登場するので、とても興味深いです。

グッバイ・レーニン!撤去されるレーニン像

撤去されるレーニン像。

映画でも再現されています。

西側諸国が勢いを増す一方で、冷戦の終結によりソ連は崩壊。東ベルリンに建てられていた巨大なレーニン像は撤去されました。レーニン像がヘリで撤去される様子は映画の中でも再現されているので注目です!

レビュー抜粋

国が分裂したり、分裂した国が統一したりと我々日本人には想像しがたいことですが、
信じていた国や体制やお金がある日突然消えたとき、人は何を思うのか…。
割と軽めのアプローチでありながら、最後にズンと考えさせられてしまう映画です。

出典: www.amazon.co.jp

コメディタッチではあるけれども、

資本主義の西ドイツと、社会主義の東ドイツの統合

という時代背景を置いたことで、

母と子の愛情物語というだけではなく、

政治により翻弄されたり、

時代のめまぐるしい変化にとまどう人々が描かれており、

見ていてせつなさも感じました。

出典: www.amazon.co.jp

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