日野原重明先生の「生きるヒント」

聖路加国際病院名誉院長、日野原重明氏。2015年10月には104歳の誕生日を迎えられます。
100歳という年齢を考えると驚異的にお元気で、今も現役の医師を続けておられる日野原先生。
さぞや若い頃から健康的な生活を送ってこられたのだろう、と思っていたら意外にも実は入院生活を送るなど、けっして順風満帆ではなかったようなのです。ここでは日野原先生が「若い人たち」に贈られた心に残る言葉を集めました。

日野原重明氏 略歴

聖路加国際病院理事長。1911年10月4日生まれ。山口県出身。42年、京都帝国大学大学院卒業。
ターミナル・ケア(末期医療・介護)の充実、「患者参加の医療」を提唱する一方で、医師・看護師の育成、予防医学や健康教育の普及など、現代医療の改善に向けて尽力を続ける。「成人病」にかわる「生活習慣病」という新語の提案者でもある。
54年には、民間病院として初めて聖路加国際病院に人間ドックを開設し、全国への普及を進めた。94年、日本で初めての独立型ホスピスを開設。2000年、75歳以上の元気な老人のために「新老人運動」を提唱し、高齢化社会にあって注目を集める。その一方で、ベストセラー絵本「葉っぱのフレディ」を音楽劇にするなどの活動も行う。05年に、文化勲章を受章。07年からは、日本ユニセフ協会大使も務める。
趣味は音楽、読書。座右銘は「平静の心」。

出典: www.yomidr.yomiuri.co.jp

2017年7月18日午前6時33分、呼吸器不全のため逝去されました。享年105歳。
最後まで現役を貫かれた日野原先生。どうぞ安らかにおやすみください。

一昨年日野原先生ご登壇の、健康に関するシンポジウムに参加する機会がありました。
そこでびっくりしたのは、先生が講演の間中ずっと立ったままだったこと。
しかもただ立っていただけでなく、ステージ上を約50分間も歩きまわっておられた!
このパワーはいったいどこから来るのでしょう?

先生はご自分でも話をされていましたが、若い頃は決して体が強い方ではなかったそうです。
むしろ病弱だった。そしてもともとは医学の道に進む気はなく、音楽の道を目指していたとのこと。
しかし運命とは面白いもので、自分では望んでいなかった道へ道へと進むこととなりました。
100歳を超えた今では、昔の夢であった音楽に関するイベントに携わり、「この歳になっても知らないことがたくさんある」と、積極的にいろいろなことにチャレンジを続けていらっしゃいます。

やりたいことは、まだまだたくさんあります。私はどれも「できる」と信じています。
信じてね、「ゴー」ですよ。

出典: www.e-ikiiki.net

これは日野原先生がNYで初めてヘリコプター(観覧用)に乗った時の画像です。
規定では100歳の人はヘリに乗れないことになっていたそうですが、「乗っちゃいました」。
空からのNYの眺めを心から楽しまれたそうです。

日野原先生の食事の内容は?

長生きしている人に対して必ずと言っていいほどかけられる質問が「どんな食生活をされているのですか?」ということ。
おそらく栄養的にきちんとバランスが取れたものを3食しっかり摂っておられるのだろう、と誰もが想像すると思います。
が、人間の体はそう単純なものではないらしく、100人ご長寿の方がいれば、100通りの食事内容があるわけで。
日野原先生に関しても、けっして厳密に栄養を考えた食事をされているわけではないようです。
医師というのはかなり不規則な仕事でもありますから、当然ともいえますけれど。

ちなみに最近の日野原先生の1日の食事をイラストにまとめてものがありますので、ご参考までに。

聖路加国際病院名誉院長
日野原重明先生(103才)のお話
【食事内容】を転記して抜粋

日野原先生は1日の摂取カロリーは1300kcalを目安。朝と昼を少なくし、夜に多く摂っています。
朝はジュースにオリーブオイルを入れて飲みます。牛乳の中に大豆レシチンを入れて飲んでいます。
昼は牛乳とクッキー2~3枚です。

出典: midori-tomo.at.webry.info

日野原先生が語られた心に残る言葉たち

ここからは、これまで先生が様々なところで語られた心に残る言葉、人生訓などをご紹介します。

私たちは自分の人生を「どうせ運命にはあらがうことはできないのだから」と諦めていることが多いのではないでしょうか。
そうではありません。動物は走り方を変えることはできません。鳥も飛び方を変えることはできません。しかし、人間は自分の生き方を変えることができるのです。
その時には苦難だと思ったことでも、後から考えてみるとそれは神様からの恵み、「恩寵」として捉えられることも少なくありません。

出典: www.yomidr.yomiuri.co.jp

自分のためにでなく、人のために生きようとするとき、その人は、もはや孤独ではない。

出典: earth-words.org

どんな困難に直面しても、「ここから始まるのだ」ととらえ直すことができれば、私たちはかならず前進できます。

出典: earth-words.org

人生には無駄というものはないもの。
しかし、後にならないと、その意味がわからないということがたくさんあるのです。
つらいことでも苦しいことでも、「体験」したことは、間違いなくその人の強みになります。

出典: earth-words.org

老人のケアは苦労も多い。しかし、いつの日にかあなたも、
あなたが老人にしたようなやり方で、ケアされる日が必ず来るのである。

出典: earth-words.org

自分を相手に置き換える想像力を、身につけたいものである。

出典: earth-words.org

きりのない欲望が、あなたをしあわせから遠ざけます。

出典: earth-words.org

最後に

日野原先生は、第二次大戦中、東京が大空襲に遭った時満足な医療が行えなかった経験から「それは過剰投資ではないか」という周囲の反対を押し切って、万が一の災害や紛争が起きた時に備え広大な施設を備えた聖路加国際病院の新病棟を建設されました。
これはのちに地下鉄サリン事件が起きた時、ここへ数多くの負傷者を運び込み治療することを可能にしたことで、先生の判断が間違っていなかったことを証明することになりました。
また、以前は「成人病」と呼ばれていたのを「生活習慣病」という名称に改める提言をしたのも日野原先生だったそうです。
ぜひこれからもお元気で、現役のお医者さんとして私たちに勇気を与えていただきたいと思います。

matsurika
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