目次

  1. ファン待望!村上春樹の最新作『職業としての小説家』
  2. 小説家以外としての村上春樹 = 長距離ランナー
  3. 小説家以外としての村上春樹 = ジャズ愛好家
  4. 小説家以外としての村上春樹 = 紀行文作家
  5. まとめてきたことについて語るときに語ること

ファン待望!村上春樹の最新作『職業としての小説家』

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初版10万冊の9割を紀伊国屋書店が買い取りしたことでも話題になった村上春樹の最新作。
本作では、小説家になった当時のエピソードや小説を書くことについての心がまえなどが語られています。
これまで断片的には語られてきた創作についてのあれこれを、ようやく腰をすえて語ってくれた印象の1冊です。

そんな小説家・村上春樹は、これまでもエッセイや紀行文など多くの本を出しています。
話題になった本作を読んで「おもしろかった! 村上さんは他にどんな本を書いているんだろう」という方へむけて、これまでに出版された村上春樹の<小説以外>の作品について、振り返ってみました。

小説家以外としての村上春樹 = 長距離ランナー

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ファンの間ではよく知られていることですが、村上春樹さんは長距離ランナーでもあります。
ボストンマラソンやサロマ湖100キロ・マラソンといった世界各地で走り続けてきた村上さんが、書くことと走ることを重ねあわせて、時に小説家として、時にランナーとして語っていきます。

本作中では冗談じみた雰囲気で「もし僕の墓碑銘なんてものがあるとしたら、“少なくとも最後まで歩かなかった”と刻んでもらいたい」と書いています。しかしながら、デビューから今まで作品を書き続けてきた、創作へのストイックな姿勢を知っている方ならば、この言葉の持つ重みが感じられるのではないでしょうか。

小説家以外としての村上春樹 = ジャズ愛好家

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同じくジャズ愛好家である和田誠さんの挿絵とともに書かれた一冊です。
タイトルの『ポートレイト・イン・ジャズ』は、ジャズピアニストのビル・エヴァンスのアルバムから。

小説や他のエッセイでもジャズ愛好家としての姿をかいま見ることができますが、この本ではジャズミュージシャンについて、音楽作品についてがガッチリと語られています。本作に続いて出された『ポートレイト・イン・ジャズ 2』、『意味がなければスイングはない』も必読です。

小説家以外としての村上春樹 = 紀行文作家

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本作収録の「辺境を旅する」で、旅行記を書くことが貴重な文章修行になったと語った村上さん。もともと旅行記が好きで、スヴェン・ヘディンやヘンリー・スタンリー、ポール・セローなどを読んできたそうです。

『辺境・近境』では、遠くの場所ではイースト・ハンプトン、メキシコ、ノモンハン、アメリカ大陸横断が、近くでは香川県でのうどん屋巡り、西宮から故郷である神戸まで歩いたときの紀行文がまとめられています。
カバー写真は「ノモンハン戦争の跡地にうち捨てられたソビエトの中型戦車」とのこと。ノモンハンは小説『ねじまき鳥クロニクル』第二部に登場する重要な場所ですが、ここを実際に訪れたのは小説を書いたあとのことだそうです。

他にも『雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行―』、ウィスキーの産地として有名なスコットランド・アイラ島とアイルランドを訪れた『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』、2000年シドニーオリンピックでの現場レポをまとめた『シドニー!』があります。
『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』は、妻である村上陽子さんがカバー写真を含めた旅行中の写真を撮影しており、そういった意味でも読んでおきたい一冊です。

まとめてきたことについて語るときに語ること

ここまで「長距離ランナー」「ジャズ愛好家」「紀行文作家」としての村上春樹作品を紹介してきましたが、読みたい一冊は見つかったでしょうか?

世界的に有名な作家である村上春樹さんは、有名であるというだけでさまざまな評論や批判がついてまわります。
あまりに有名すぎる、あまりに人気すぎる、ということから敬遠しているひともいます。
難しく考えず、まずは小説以外から村上作品に挑戦してみてもいいかもしれません。