目次

  1. 『マーサの幸せレシピ』~才能人の孤独
  2. 『ヘイフラワーとキルトシュー』~最高にかわいくて胸くそ悪い映画
  3. 『クロワッサンで朝食を』~必ず訪れる、自分を失うその時
  4. 美しい風景と、ぐさぐさくるストーリー。

『マーサの幸せレシピ』~才能人の孤独

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『マーサの幸せレシピ(Bella Martha)』
2001年 ドイツ
監督・脚本:ザンドラ・ネッテルベック
出演:マルティナ・ゲデック セルジオ・カステリット ほか

ドイツ・ハンブルグで才能あふれる料理人として働くマーサは、たとえ相手が客であっても絶対に自分の考えを曲げない頑固者。
新しく店にやってきたイタリア人料理人のマリオにも、調理の方針を巡って対立心を抱く。

そんなある日、マーサは交通事故でこの世を去った姉夫婦の娘リナを引き取り、ぎこちない二人の生活がはじまった。

事故以来リナは食事を取ろうとせず、日に日に衰弱していくばかり。
見かねたマーサがリナを店の調理場へ連れてきたそのときから、マーサのまわりの人間関係が少しずつ変わりはじめるのだった。

Bella martha

才能を持つ者は孤独だ。

まれに才能と同時に高いカリスマ性も持ち合わせているために多くの人から慕われる者もいる。
しかし大概の才能人は誰からも理解されず、上手に生きていけないことが多い。

自分の中での「完璧」を求めて一心不乱にひた走っているのに、他人が求めているものは違う。
誰よりも必死で努力しているのに、報われることがないどころか不運ばかりが舞い込んでくる。

いっそ才能なんてない方が、よっぽど楽に生きていけるのに。
そう思う者も少なくないだろう。

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この映画は最終的にじんわりと心温まるストーリーへと変わっていくのだが、序盤のマーサは見ていられなかった。
「見ていてつらい」どころかもはや「痛」かった。

内容が割と淡泊でひねりがないからこそ、登場人物たちの「人間」がむき出しになって心に刺さる一作だ。

『ヘイフラワーとキルトシュー』~最高にかわいくて胸くそ悪い映画

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『ヘイフラワーとキルトシュー(Heinähattu ja Vilttitossu)』
2002年 フィンランド
監督:カイサ・ラスティモ
脚本:カイサ・ラスティモ マルコ・ラウハラ
出演:カトリーナ・ダヴィ ティルダ・キアンレト ほか

もうすぐ小学校に入学するヘイフラワー。

彼女の家族はわがままな妹・キルトシュー(ティルダ・キアンレト)と、ジャガイモ研究に夢中の父・マッティ(アンティ・ヴィルマヴィルタ)、そして家事がまったくできない母・ハンナ(ミンナ・スローネン)。

しっかりもののヘイフラワーは毎日小さいながらに一生懸命家族を守っていた。

しかし、家族で開いた運動会の「事件」をきっかけにヘイフラワーのがまんも限界に。
いい子だった彼女が一転してしまうのだった。

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自分が小学校に入ったあとの家族が不安でしょうがないヘイフラワーは、神さまにお願いした。

「私たちを普通の家族にしてください。」

ママはエプロン姿でパンを焼いてくれますように。
パパは早く研究を終わらせますように。

妹を、パパとママがかわいがってくれますように。

ネタバレは防ぎたいところだがこのシーンだけは紹介したかった。

こんな言葉を、たった7歳の小さな女の子が語る。
この映画はそんな映画なのだ。

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この映画は、一応最終的にいろいろと丸く収まる。

でもまったくもってすっきりはしない。
こんなに胸くそ悪い映画を私は他に知らない。

世の中的には文句なしのハッピーエンドらしいが。
たぶんこの終わり方を「ハッピーエンド!すっきり!」といった感覚で受け止められる人はしあわせな家庭生活を送ってきた人なんだと思う。

それは別に悪いことでもなんでもない。
家庭生活は、しあわせな方が絶対いいのだから。

月並みな言葉になってしまうが、この映画がどういう映画になるかは、あなた次第だ。

MFMF0825.SEESAA.NET

『クロワッサンで朝食を』~必ず訪れる、自分を失うその時

Poster

『クロワッサンで朝食を(Une Estonienne a Paris)』
2012年 フランス・エストニア・ベルギー共同制作
監督・脚本:イルマル・ラーグ
出演:ジャンヌ・モロー ライネ・マギ ほか

母を看取り、はじめてパリにやってきた家政婦アンヌ。
彼女を待っていたのは、裕福だけど孤独な老婦人フリーダ。

実はアンヌを雇ったのはフリーダ本人ではなく、それどころかフリーダは毒舌で気難しい性格からアンヌに冷たく当たる毎日。

しかし、反発を繰り返すうちにフリーダはアンヌにかつての自分の姿を重ね、少しずつ心を開いていく。

歩んできた人生も境遇も違う二人が出会い、再び人生が輝きはじめる。