ヤマシタトモコが描く、生々しいオトコたち

前回に引き続き、今回もヤマシタトモコさんの短編作品の中から魅力的なキャラクターをご紹介いたします。前回ご紹介した、生々しい女性キャラクターに続いて今回は、男性キャラクターに見える同じような人間くささにスポットライトを当てたいと思います。

「うつくしい森」(『ミラーボール・フラッシング・マジック』所収)

思春期の男子を主人公としたこの短編は、特別可愛くもなければ、タイプでもなんでもない美術教師のことが気になって仕方なくなってしまうという日常の些細な変化を切り取った、泥くさいストーリー。

「先生には腋毛が生えているのだろうか?」からスタートし、服の中に隠された部分が気になって仕方なくなってしまう……という煩悩にまみれた男子高校生の姿が、印象的な短編です。

「イッツマイチョコレート!」(『恋の心に黒い羽』所収)

『恋の心に黒い羽』はBLレーベルから発表されている作品のため、今作、また前後の作品含めてゲイのキャラクターが登場します。

主人公は、六人兄弟の長男でゲイ。
長男として、弟や妹たちをまとめ我慢する立場にいる苦悩が色濃く書き出されています。

BLとしての要素はどちらかと言えば薄く、それよりも「我慢すること」、「耐えること」に慣れてしまった主人公が、あるタイミングですべてを爆発させ赤裸々に語ってしまうというシーンから、その後の家族たちの暖かなリアクションまでほっこり&楽しく見守りたい作品です。

◆どこかで惹かれる、生々しい登場人物・キャラクター

アフタヌーンを中心とした一般誌だけでなく、BLマンガも描くヤマシタトモコさんは、根暗・ナルシスト・ヤクザ・幽霊や正体不明の存在まで……? 多様な男性キャラクターを描き分けています。

また、その作風もギャグ、シリアス、恋愛、ホラー、青春、ブラックなどなど実にさまざま。愛さずにはいられないキャラクターを、きっとどこかで発見できるはず!

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