目次

  1. 無学な郵便配達夫
  2. どんどん集まる石たち、やがて・・・
  3. 建築への情熱
  4. ついに完成した理想宮
  5. 自分と家族の墓所

無学な郵便配達夫

Ferdinand cheval

フェルディナン・シュヴァル(1836-1924)は、
フランスのドローム県オートリーブ地域の小さな村で生まれました。
13歳の頃から徒弟奉公で働き、1864年から郵便配達夫
として働き始めました。彼は毎日歩いて郵便配達をしながら
空想の翼をはためかせていました。いつかおとぎの国の宮殿で
幸せに暮らす夢です。彼は誰にもこの話を語ったことはなく
自分だけの胸に秘めていました。
しかし1879年のある日、配達中に変わった石に躓いて
転んだことで人生の転機が訪れました。彼はその石を家に
持ち帰り、仕事中に少しずつ石の収集をするようになったのです。
時にシュヴァル43歳でした。

どんどん集まる石たち、やがて・・・

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このときから彼は仕事中に見つけた様々な石を
はじめはポケットに、後にはバスケットに、
そして最後は台車を用い、仕事以外にさらに10kmも
歩いて回収し、それを夜に積み上げ始めた。
村の住人たちは一人で奇怪な建築を造り続ける彼を
馬鹿者呼ばわりした。上司である郵便局長からも
行動を問いただされたものの、シュヴァルは
その趣味に情熱を燃やすのをやめることはなかった。

※画像はシュヴァルが最初に躓いたソロバン状の石

建築への情熱

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石を集めて積み上げ始めて20年間は、ほぼ城の
外観デザインに費やされました。デザインはヒンドゥー教の
寺院や神話などからヒントを得ているといわれています。
無学で建築の知識もなかったシュヴァルが、どうやって
外国の建築物を真似られたのか疑問に思われていましたが、
彼は外国から送られてくる珍しい絵葉書などを参考にして
いたといわれています。

※地元で「有名人」となり絵葉書になったシュヴァル

ついに完成した理想宮

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石を積み上げてから苦節33年、ついにシュヴァルの
「理想宮」が完成しました。

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イースターのモアイのような、奇妙な巨人像。

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建築の素人が作ったとは思えないほど、緻密です。

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訪問者はバルコニーに上がることもできます。

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シュヴァルの死後、シュールレアリズムの詩人ブルトンに
見出された理想宮は、高い評価をされるようになりました。
現在はフランス政府から保護され、多くの観光客も
訪れています。

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壁や天井のあちこちに、シュヴァルは短い章句を
書きこんでいるのですが、どれも厳しい周囲の視線を
ものともせずに自分の意志を貫こうとする
強烈な矜持に溢れています。左の写真の
「目的のない人生は幻である」という文句に、
シュヴァルの生きた孤独を思わずにいられませんでした。

自分と家族の墓所

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シュヴァル自身は理想宮に住む事はありませんでしたが、
理想宮の地下に自分と家族が永眠するための墓所を
作ろうとしました。しかし、教会や地元住民の反対に合い
理想宮を墓地として使うことは断念しました。
その代わりに村営の墓地に理想宮に似た形の壮麗な
霊廟を建てました。

観光客の撮影した動画