【知られざるシュールレアリズム絵画】ポール・デルヴォー

シュールレアリズムといえば、ダリやマグリット、キリコなどを連想するかたが多いですが、彼らと同じ頃に活躍したシュールレアリズムのアーティストは世界中に存在します。日本ではあまり知られていないポール・デルヴォーの幻想的な世界をご紹介します。

ポール・デルヴォーの半生

ポール・デルヴォーは父親は弁護士、母親は音楽家という
ベルギーの裕福な家庭に1897年に生まれました。

デルヴォーは32歳の時にアンヌ=マリー・ド・マルトラール
(愛称タム)という女性に出会い恋に落ちますが、母親に
反対されて別れてしまいます。そのショックで同じ顔をした
若い女性の裸婦像(タム)ばかりを描くようになったと
いわれています。40歳の時にシュザンヌ・ピュルナルと結婚
しますが、その後もタムの面影を追ってタムの肖像を描き
続けました。

※ウォーホール(右)と一緒の写真

デルヴォーは建築も好きでした。特にイタリア旅行を
した際に古代ローマの建築群に魅せられました。作中には
古代ローマ風の建物が多く見られます。

デルヴォーは鉄道も好きで、鉄道模型を自分で作っていたと
いいます。

35歳の時に骨格標本を見て感銘を受け、それ以降作品に
ガイコツを登場させるようになりました。

デルヴォーの作品には科学者も頻繁に描かれます。
一説によると傾倒していたジュール・ヴェルヌの小説の
登場人物をモデルにしているとか。

1947年、たまたま訪れた避暑地でデルヴォーは、かつての恋人
タムと偶然の再会を果たします。その時、デルヴォーは50歳。
18年ぶりの再会でした。二人はその後分通を重ね、
密会するようになりました。その後、デルヴォーは離婚し
55歳の時にタムと再婚しました。
二人は一緒に暮らしましたが1989年にタムが先立つと、
デルヴォーも後を追うようにして亡くなりました。

作品の中では、無表情で大きな目を見開き、
陰毛をあらわにした裸の女性たち、駅、電車、
骸骨、拡大鏡で何かを観察している学者などが
題材としてくり返し描かれ、背景には石畳の道や線路などが
透視図法を用いて描かれることが多く、古代ギリシャの
神殿のような建物の遺跡がよく用いられる。静寂さの中に
幻想的な世界が広がるその作風によって、「幻想画家」という
形容もなされる。1935年以後、運動には直接参加しないまま
シュルレアリスム展にしばしば出品。
長くブリュッセルに住んだが、1994年に没す。

女性の顔はみな同じ人(タム)です。

ポール・デルヴォー 〔骰子の7の目 シュルレアリスムと画家叢書〕
大型本 – 2006/7/12

とんとん
とんとん
@tonton

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