魔法少女育成計画(まほいく)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

魔法少女育成計画(まほいく)とは作・遠藤浅蜊、イラスト・マルイノによる小説。2012年6月より文庫として宝島社より刊行が開始されており、2016年10月から12月まではその一部を原作としてテレビアニメ全12話も放送された。可愛らしい絵柄とは裏腹に、魔法少女としての力を授かった少女たちの、命がけのシビアな戦いを描いている。

『魔法少女育成計画』の概要

『魔法少女育成計画』は日本のライトノベルで、2017年7月時点において文庫本が10冊、単行本が1冊、刊行されている。またシリーズに関しては、順次、コミカライズもされており、こちらもコミック単行本として発売されている。アニメの『魔法少女育成計画』は文庫本の1巻のストーリーをもとに、4巻の内容を入れるなどして再構成して作られている。監督は『ご注文はうさぎですか?』などをつとめた橋本裕之が担当、シリーズ構成は『不機嫌なモノノケ庵』や『亜人ちゃんは語りたい』など、数多くのアニメの脚本、シリーズ構成を担当している吉岡たかをがつとめた。
可愛らしい外見を裏切る、魔法少女たちのハードな生き残りをかけた戦い、そしてその中で繰り広げられる様々な思惑をはらんだ人間ドラマは、多くの視聴者を虜にした。原作小説の残りも多くあることから、アニメ作品の続編を期待する声も多い。アニメ作品のパッケージは、BD、DVD共に全4巻が発売されている。こちらにはオーディオドラマCDとオリジナルサウンドトラックCDが、特典としてついている。

『魔法少女育成計画』のあらすじ・ストーリー

数万人に一人に対し、常任離れした身体能力と可憐な容姿、そして特殊能力を授かった「魔法少女」にする力がある。
それが人気ソーシャルゲーム「魔法少女育成計画」の正体だった。

幼いころから魔法少女に憧れていた小雪も、「魔法少女育成計画」に夢中になっている少女のひとりだった。
そしてある日、ゲームをしていたところ、そのマスコットキャラであるファヴが小雪の前にあらわれる。
ファヴは、小雪が魔法少女スノーホワイトに選ばれたことを告げる。
(スノーホワイト…魔法少女のひとり。魔法は困っている人の声が聞こえるというもの。)
憧れの魔法少女になることができたスノーホワイトは、その能力を駆使して次々と人の力になっていく。

しかしスノーホワイト以外にも、たくさんの魔法少女が集ったことにより、その土地の魔力が不足することを懸念した運営側は、魔法少女たちに対して非情な宣告をする。
それは、魔法少女としての活躍の目安でもあるマジカルキャンディ、その獲得数が少ない者に関しては、魔法少女の資格をはく奪すると言う内容だった。
1週間に1度、魔法少女としての資格をはく奪される者が選ばれ、最終的には16人いる魔法少女を半分の8人にまで減らす、と運営側は告げる。
突然の宣告に、スノーホワイトをはじめとする魔法少女たちは戸惑う。
しかしそれぞれの能力を駆使し、マジカルキャンディを獲得していく。
しかし、能力の性質上、夢の中でしか活躍することができないねむりんは、争い事が嫌いと言うこともありマイペースを貫いていた。
(ねむりん…魔法少女のひとり。「夢の中で自由な行動ができる」という能力を持つ。)
そして、最初の脱落者としてねむりんが決定してしまう。

魔法少女の脱落。しかしそれは、思わぬ事実をはらんでいた。
それは、魔法少女の資格をはく奪されると言うことは、現実社会においての死を意味すると言う現実だった。
事実、ねむりんとして活躍していた女性は死亡しており、シスターナナが見つけたファヴと森の音楽家クラムベリーのログ(魔法少女たちには、魔法少女間の連絡などに用いるための携帯端末が授けられる。ログとは、そこに記録された魔法少女同士、あるいは魔法少女とファヴとの会話の記録のこと)により明らかにされたその事実に、魔法少女の間には動揺が走る。
(シスターナナ…魔法少女のひとり。任意の人の能力をパワーアップできる魔法を授かる。)
(森の音楽家クラムベリー…魔法少女のひとり。戦闘狂。音を自由自在に操ることができる魔法を授かる。)

そこにファヴが新たなルールを追加する。
それは他の魔法少女からマジカルキャンディを奪うことができると言う内容だった。
現状、最も多くのマジカルキャンディを所持しているスノーホワイト、そして彼女を守ることを誓っているラ・ピュセルのもとにミナエルとユナエル、たま、スイムスイムを従えたルーラが姿を見せる。
(ラ・ピュセル…魔法少女のひとりで、固有アイテムである大剣の大きさを変化させることができる魔法を持つ。)
(ルーラ…魔法少女のひとり。ミナエルとユナエル、たま、そしてスイムスイムを従えている。目の前の相手になんでも命令できる魔法を有している。)
(ミナエル・ユナエル…双子の魔法少女。ミナエルは生きもの以外のものに、ユナエルは生きものであれば何にでも変身することができる魔法を授かる。)
(たま…魔法少女のひとりでとても気弱。小さな傷がつけられるものであれば、そこから穴をあけることができる魔法を有している。)
(スイムスイム…魔法少女のひとり。音と光以外のものであれば、水のように潜ることができる魔法を授かっている。)

ルーラたちの連係プレイにより、スノーホワイトのマジカルキャンディはスイムスイムに奪われてしまう。
スノーホワイトを守りたい一心のラ・ピュセルは自分のマジカルキャンディをスノーホワイトに与えようとする。
しかし運営から発表されたのは、ルーラがキャンディ所有数最下位と言う事実だった。

それは自らの理想のお姫様であるルーラになりたいと言う歪んだ願いを抱いてしまったスイムスイム、そして日頃からルーラのことを良く思っていなかったミナエルとユナエルの裏切りの結果だった。

魔法少女同士の戦いに胸を痛めるシスターナナは、リップルやトップスピードに戦いではない道を模索する方法を提案していた。
(リップル…魔法少女のひとり。手裏剣を投げる際に目的を定めれば、百発百中でそれが目的に当たると言う魔法を授かる。)
(トップスピード…魔法少女のひとり。固有アイテムの箒で、凄まじいスピードで空中を飛ぶことができる魔法を授かる。)

更にシスターナナのもとに、森の音楽家クラムベリーからの呼び出しがかかる。
街一番の古株である彼女に対しても、シスターナナは協力を呼び掛ける。
しかし生粋の戦闘狂である森の音楽家クラムベリーはそれを拒否。
森の音楽家クラムベリーは戦いを仕掛けるも、シスターナナと同行していたヴェス・ウィンタープリズンがそれに応戦し、交渉は決裂してしまう。
(ヴェス・ウィンタープリズン…魔法少女のひとり。シスターナナと常にペアでいる。サイズは限定されるが、強力な壁を作り出す魔法を有している。)

森の音楽家クラムベリーの目的は、強敵との戦いだった。
そのため彼女は、次にラ・ピュセルに目を付ける。
そしてラ・ピュセルは森の音楽家クラムベリーの前に敗れ、死亡する。

ラ・ピュセルの死に酷く落ち込むスノーホワイト。
その前に、新たに参戦した魔法少女、ハードゴア・アリスが姿を見せる。
(ハードゴア・アリス…魔法少女のひとり。驚異的な再生能力を魔法として授かっている。)

だがそこに、カラミティ・メアリと協定を結び、カラミティ・メアリから魔法少女の殺害を命じられたマジカロイド44があらわれ、ハードゴア・アリスの首を刎ねてしまう。
(カラミティ・メアリ…魔法少女のひとり。持っている武器をパワーアップできる魔法を有している。)
(マジカロイド44…魔法少女のひとり。未来の便利な道具を利用できる魔法を有しているが、どんなものが出てくるかは完全に運次第で、アイテムは1日1つに限定されている。)
しかし驚異的な再生能力を持つハードゴア・アリスは再生し、マジカロイド44を殺害する。

カラミティ・メアリは自分と手を結ぼうとしていたマジカロイド44の死に激怒。
誰の仕業であるのかをファヴから強引に聞き出し、ハードゴア・アリスを襲撃する。
しかしカラミティ・メアリの執拗な攻撃にも、ハードゴア・アリスは屈することなく、再生を繰り返していく。

一方、スノーホワイトはシスターナナ、ヴェス・ウィンタープリズンとの協力関係を強固なものにする。
そこにハードゴア・アリスも合流。
自分に興味がある様子のハードゴア・アリスにスノーホワイトは戸惑う。
しかしハードゴア・アリスから、戦いに有利なアイテムをプレゼントされたことで、スノーホワイトはハードゴア・アリスへの警戒心を少しずつ解いていく。
そしてラピュセルは、ファヴから、カラミティ・メアリからの知らせがあるとの旨を受ける。

シスターナナとヴェス・ウィンタープリズンは協定を結ぶため、スイムスイムたちがいる廃寺を訪れる。
だがそんな彼女たちを、スイムスイムたちは殺害する気でいた。
そのことを察したヴェス・ウィンタープリズンは、ナイフにより傷を受けながらも、シスターナナを逃す。
そしてユナエルを殺害し、シスターナナのことを思いながら、ヴェス・ウィンタープリズンも命を落とす。

一方、カラミティ・メアリから指定された場所に出向いたラピュセルとトップスピード。
しかしカラミティ・メアリは話しあう気などなく、ラピュセルとトップスピード、ふたりをまとめて始末することを目的としていた。
カラミティ・メアリは遠距離狙撃でふたりの命を狙う。
カラミティ・メアリの無差別襲撃に一般人も巻き込まれ、その助けを呼ぶ声にスノーホワイトは現場へと急ぐ。
そこにハードゴア・アリスも合流する。

スイムスイムは、この混乱に乗じてやって来るであろう魔法少女の襲撃を決意。
ユナエルの死により怒りに駆られているミナエルもスイムスイムに続く。

カラミティ・メアリの暴走を止めるべく、リップルとトップスピードは奮闘する。
そして見事、カラミティ・メアリを撃退する。
しかしその瞬間、彼女らの激戦を見守り、漁夫の利を狙っていたスイムスイムの凶刃がトップスピードを貫く。
トップスピードは命を落とし、崩れゆく彼女の体を抱きしめたリップルは、彼女が妊娠中であったことを知る。
怒りと悲しみに駆られ、リップルはスイムスイムに向かっていくが、やがてスイムスイムは姿を消してしまう。

一方、人助けに精を出すスノーホワイトとハードゴア・アリス。
そこにミナエルが襲撃。
ハードゴア・アリスがスノーホワイトを庇うことで事なきを得るが、ミナエルはハードゴア・アリスがいつも持っていたうさぎのぬいぐるみになりすまし、命を奪うチャンスを狙っていた。

シスターナナは、ヴェス・ウィンタープリズンの死から立ち直れないでいた。
睡眠薬と酒におぼれた彼女は、絶望のままに自死を選択する。

そしてファヴは、生き残ることができる魔法少女の数を当初の8人から、さらに半分の4人にすると残りの魔法少女たちに告げる。

ハードゴア・アリスは、ぬいぐるみに変身したミナエルにより、人間である時の正体を知られてしまう。
それは運営が設定している「魔法少女は正体を知られてはいけない」というルールに反しており、魔法少女に変身する術を失われてしまうと言うことだった。
ハードゴア・アリスの驚異的な再生能力は、魔法少女にならないと利用することはできない。
そのため彼女はスイムスイムの攻撃により命を奪われ、助けを求める声にやってきたスノーホワイトの腕の中で亡くなる。

スイムスイムはそのまま、森の音楽家クラムベリーを襲撃する。
岩に変身し森の音楽家クラムベリーの動向を探っていたミナエルは、それを見破られ一撃で死亡。
更に森の音楽家クラムベリーは、光と音を透過させることはできないと言うスイムスイムの弱点を見抜き、彼女に一撃を食らわせる。
(スイムスイムの能力は、どんなものにも水のように潜れるというもの。しかしその例外として光と音には潜ることができないと言うことを、森の音楽家クラムベリーは見抜いたのである)

変身が解けたスイムスイムの正体は、見るからに幼い少女だった。
それに衝撃を受けた森の音楽家クラムベリーに、人体に穴をあけることもできるたまが攻撃。
森の音楽家クラムベリーは、思わぬたまの攻撃の前に命を落とす。
そしてたまはスイムスイムを助けるが、魔法少女は正体を知られてはならないと言う運営のルールのために、たまはスイムスイムによって殺害されてしまう。

ここでスノーホワイトは、ファヴからこの戦いの真実を聞かされる。
元々、このゲームは魔法の国で本物の魔法少女として活躍することができる少女を選抜するための試験であったと言うこと。
魔法少女に選ばれた者は、魔法の国で魔法少女として活躍するか、マスターとなり、新たな選抜試験の監査役になるかのどちらかが選べると言うこと。
(魔法の国…異世界にあるらしい、魔法使いたちが暮らしていると言う不思議な国。国の方針として、外側からの新しい血を常に求めている。魔法少女を選抜するための試験が行われているのも、新たな魔法少女を獲得したい国の方針によるもの。)

ただ本来の選抜試験であれば、脱落した者は記憶を消されるだけで命を落とすことはなかったと言うこと。
命を落としあうような、バトルロイヤル形式にしたのは、ファヴと戦闘狂である森の音楽家グラムベリーの策略だったと言うこと。

そしてファヴは、最終的には魔法少女として強い使命感を持ちながら、強く自分の意見を言うことができないスノーホワイトにマスターをやってもらうのが狙いだったと告げる。
またリップルとスイムスイムについては、生き残りに相応しくないため殺し合わせるのが一番だと判断。
(リップル、スイムスイム共に、他者とのコミュニケーションに難があるため。更にリップルは短気で売られた喧嘩は買うと言う性格であるため。そしてスイムスイムは感情が乏しく、残虐なことも平気で行うような節があるため)
そのための決戦の場が既に用意されていることを知ったスノーホワイトは、リップルとスイムスイムの決戦の場に急ぐ。

リップルとスイムスイムの戦いは激しいものだった。
だが最後はリップルがスイムスイムを仕留める。
リップルも致命傷を負ったが、ハードゴア・アリスがスノーホワイトに授けたアイテムのお陰で、一命を取り留めることができた。
そしてファヴは、真実を知ったリップルによって撃破される。

明るみにならないところで、たくさんの命を奪った魔法少女育成計画。
ソーシャルゲームとしては、ひっそりと終了してしまう。

生き残ったスノーホワイトは、リップルと共に日常を捨て、魔法少女として人助けや犯罪組織撲滅に尽力していた。
ラ・ピュセルやハードゴア・アリス、そして数多くの魔法少女たちの思いを胸に、実力と精神力、両方を兼ね備えた魔法少女になることを、スノーホワイトは強く決心するのだった。

『魔法少女育成計画』の登場人物・キャラクター

スノーホワイト(CV:東山 奈央)

出典: i2.wp.com

本名は姫河小雪(ひめかわこゆき)。
幼いころから魔法少女に憧れており、ファヴにスカウトされ魔法少女になってからは、力を利用して人助けに邁進する。
非情な魔法少女同士の戦いに巻き込まれても、最後まで人を信じようとする心、人を思いやる気持ちを忘れない、とてもまっすぐな心の持ち主。
ラ・ピュセルやハードゴア・アリス言った、親しかった魔法少女との別れを経験するも、リップルと共に最後まで生き残る。

授けられた魔法は『困っている人の声が聞こえるよ』。
近くに困っている人がいると、その声が意識していなくても聞こえてくるというもの。

リップル(CV:沼倉 愛美)

本名は細波華乃(さざなみかの)。家族との折り合いが悪く一人暮らしをしている。
忍者姿をした魔法少女で、本人は否定しているがトップスピードの相棒。
あまり口数は多くなく、人間関係を築くのが苦手。また短気であり、売られた喧嘩は買う主義。
最後は、スノーホワイトと共にこの戦いの生き残りとなる。

授けられた魔法は『手裏剣を投げれば百発百中だよ』。
狙いを定めて投げた手裏剣は必ず、その獲物に当ると言うもの。
仮に全く違う方向に投げたとしても、手裏剣が勝手にカーブを描いていく。

ラ・ピュセル(CV:佐倉 綾音)

新人であるスノーホワイトの教育係。
実は変身前は少女ではなく少年。本名は岸辺颯太(きしべそうた)。小雪の幼馴染であり、スノーホワイトが小雪であることも知っている。
彼女を守る騎士になるべく奮闘するが、森の音楽家クラムベリーとの戦いで命を落としてしまう。

魔法は『剣の大きさを自由に変えられるよ』。
ラ・ピュセル特有の武器である大剣。
この大きさを変化できるというもので、剣を手にしていなくても視界内にあればいつでも変化させることができる。

5zmunch_asobi
5zmunch_asobi
@5zmunch_asobi

目次 - Contents