Flying Lotus(フライング・ロータス)とは【徹底解説まとめ】

フライング・ロータスは1983年10月7日カリフォルニア州ロサンゼルス出身の音楽プロデューサー、ミュージシャン、DJ、ラッパー、映画監督である。本名はスティーブン・エリソン。音楽との繋がりの強い家系に生まれ、叔母にアリス・コルトレーン、叔父にジョン・コルトレーンを持つ。2006年にファーストアルバムをリリース。2008年リリースのセカンドアルバムからワープ・レコーズと契約している。

Flying Lotusの概要

フライング・ロータスことスティーブン・エリスンは1983年10月7日にカリフォルニア州ロサンゼルスに生まれた。彼はジャズピアニストのアリス・コルトレーンを叔母、アリスの夫のサックス奏者ジョン・コルトレーンを叔父に持っている。加えて彼はダイアナ・ロスの「Love Hangover」などの曲で知られるシンガーソングライターのマリリン・マクラウドの孫息子でもある。マリリン・マクラウドの音楽性はフライング・ロータスのスタイルに大きな影響を与えていると言われている。

エリスンはロサンゼルスにある映画学校に通っていた。彼はヒップホップを好んで聞き、任天堂のゲームを遊び、マーベル社のコミックを読み、カートゥーンネットワークを見て育った。彼はテレビでたまたまカートゥーンネットワークの大人向けプログラム「アダルトスイム」が音楽を募集しているのを発見し、フライング・ロータスという名前で何曲か作り応募した。
この頃、有名ヒップホップレーべル「Stones Throw Records」にインターンシップ生として働いていた。日中はこのレーベルで働き、夜はファーストアルバム「1983」に収録される曲作りに励んでいた。「1983」は60年代のジャズハープ、70年代の日本のシンセポップなどの影響を含んだヒップホップアルバムとなった。これ以降の作品でもフィーチャーされるヴォーカリストのローラ・ダーリントンが今作に参加している。

2006年、エリスンはこの年にオーストラリアで開催されたレッドブル・ミュージック・アカデミーに参加する。2007年にはオウテカ、ボーズ・オブ・カナダなどを擁するワープ・レコーズと契約したことを発表した。ワープ・レコーズでの最初の作品は「Reset EP」であった。早くもこの作品でレーベルに必要不可欠なアーティストと見なされた。エリスンの知名度が上がると、彼は自らのレーベル「Brainfeeder」を立ち上げた。エリスンの友人であるアーティストを集め、レーベルはロサンゼルスのビートミュージックのシーンを担うことになった。そして2008年、彼はワープレコーズからセカンドアルバム「Los Angeles」をリリースした。収録された17曲はベースミュージックやテクノ、ソウルミュージックなどを含んだヒップホップの黄金期の影響を受けたサウンドを鳴らしている。エリスンはヒップホッププロデューサーのJ・ディラの影響を挙げている。同年、彼はイギリスのバンド、レディオヘッドの曲「Reckoner」をリミックスしている。

2010年5月にはサードアルバム「Cosmogramma」をリリースした。2011年1月にはこのアルバムが10周年を迎えたインディーミュージックアワードでダンス/エレクトロニカ賞を受賞した。前作と同じく、ソウル、ヒップホップ、またジャズなどの影響を強く感じさせるサウンドになっている。今作では前作よりも生楽器が多く使用されている。「Cosmogramma」の多くの曲にベースプレイヤーとして参加しているサンダーキャットこと、ステファン・ブルーナーはこれ以降のフライング・ロータスの作品に大きく関わることになる。
同年9月には8曲入りのEP「Pattern+Grid World」をリリースした。この作品ではベースのサンダーキャット、アートワークをテオ・エルスワースが担当している。

2012年10月には4枚目のアルバム「Until the Quiet Comes」をリリースした。今作ではレディオヘッドのトム・ヨーク、ジョニー・グリーンウッド、ニキ・ランダ、エリカ・バドゥ、ローラ・ダーリントン、そしてサンダーキャットが参加している。前作「Cosmogramma」の大成功により周りの環境が大きく変わり騒々しくなった事に対してや、アルバム製作中に追いつめられた際にエリスンが呟いていた言葉「Until the Quiet Comes(静寂が訪れるまで)」がタイトルとして使用されている。
2012年後半、「Until the Quiet Comes」がリリースされてから約2ヶ月後にwww.captainmurphyというオンラインサイトが開設された。キャプテン・マーフィーと名乗るラッパーが34分のミックステープを公開しており、メディアが何者か詮索していたが、のちにエリスンであったことが明かされた。

2013年4月、エリスンはビデオゲーム「グランド・セフト・オートV」に登場するラジオ局に多くの楽曲を提供していることを発表した。その中にはスコットランドのプロデューサー、ハドソン・モホークがプロデュースしたキャプテン・マーフィーの曲も含まれていることがアナウンスされた。

2014年10月5枚目のアルバム「You're Dead!」をリリースした。「You're Dead!」ではアメリカのラッパー、スヌープ・ドック、ケンドリック・ラマーやジャズ界の重鎮ハービー・ハンコックをフィーチャーしている。今作のアルバムジャケットは日本の漫画家、駕籠真太郎が担当している。
2015年の夏時期には世界中の多くの音楽フェスに出演した。サンダー・キャット、ケンドリック・ラマーやジョージ・クリントンなど多くのゲストを招いたライブパフォーマンスは多くの賞賛を得た。第58回のグラミー賞では「You're Dead!」収録の「Never Catch Me」はベストダンスレコーディング賞にノミネートされた。

2016年、エリスンは自身のレーベル、ブレインフィーダーの映画部門を設立することをアナウンスした。その後、エリスンは「Royal」というショートフィルムをサンダンス映画祭で公開した。彼はその後、ショートフィルム「Royal」をさらに押し広げた映画「Kuso」で実質的な映画監督デビューを果たす。「Kuso」ではエリスン自身の音楽に加え、エイフェックス・ツイン、バスドライバーやサンダーキャットなどの音楽が使用されている。

オリジナルアルバム

1983

出典: img.discogs.com

01 1983
02 São Paulo
03 Bad Actors
04 Orbit Brazil
05 Shifty
06 Babble
07 Pet Monster Shotglass
08 Hello
09 Untitled #7
10 Unexpected Delight (featuring Laura Darlington)
11 1983 (Daedelus's Odd-dance Party Remix (Bonus Track))

本作は2006年10月3日にリリースされたフライング・ロータスのファーストアルバムである。アルバムタイトルの「1983」はフライング・ロータスの生まれた年である。8bitサウンドを生かしたチップ・チューンのような曲から、J・ディラの影響を感じさせる意図的にリズムをよらせたヒップホップトラックなど、本作では10曲目のみ歌手のローラ・ダーリントンをゲストとして迎え入れている。ちなみに11曲目でリミックスを担当しているデイデラスはローラの夫である。

Los Angeles

出典: img.discogs.com

01 Brainfeeder
02 Breathe Something/Stellar Star
03 Beginners Falafel
04 Camel
05 Melt!
06 Comet Course
07 Orbit 405
08 Golden Diva
09 Riot
10 GNG BNG
11 Parisian Goldfish
12 Sleepy Dinosaur
13 RobertaFlack (featuring Dolly)
14 SexSlaveShip
15 Auntie's Harp
16 Testament (featuring Gonjasufi)
17 Auntie's Lock/Infinitum (featuring Laura Darlington)

本作は2008年6月10日にワープレコーズよりリリースされたフライング・ロータスのセカンドアルバムである。アルバムのアートワークは映像ディレクター、フォトグラファーのティモシー・サセンティが担当した。タイトルの「Los Angeles」はフライング・ロータスの出身地である。前作よりもビートが重く、ロサンゼルスを未来都市に表したようなコンセプチュアルな内容になっており、前作1名だったゲストは今作では3名となっており、歌詞での表現も加わっている。15曲目の「Auntie's Harp」は曲名のとおり、叔母であるアリス・コルトレーンのハープがサンプリングされている。

Cosmogramma

出典: img.discogs.com

01 Clock Catcher
02 Pickled!
03 Nose Art
04 Intro//A Cosmic Drama
05 Zodiac Shit
06 Computer Face//Pure Being
07 ...And the World Laughs with You (featuring Thom Yorke)
08 Arkestry
09 MmmHmm (featuring Thundercat)
10 Do the Astral Plane
11 Satelllliiiiiiiteee
12 German Haircut
13 Recoiled
14 Dance of the Pseudo Nymph
15 Drips//Auntie's Harp
16 Table Tennis (featuring Laura Darlington)
17 Galaxy in Janaki

本作は2010年5月3日にワープレコーズよりリリースされたフライングロータスのサードアルバムである。アルバムタイトルの「Cosmogramma」は叔母のアリス・コルトレーンからヒンドゥー教のレクチャーを受けたこと、コズミック・ドラマという言葉をコズモグランマと聞き間違えたことに由来している。タイトルのから感じられるようにコズミックで、これまでよりジャズの要素が強くなっている。2008年10月に叔母のアリスが亡くなった数ヶ月後に、今度は実の母親が亡くなってしまった。この経験が本作の制作に大きな影響を与えたと言われている。今作はイギリスのアルバムチャートで最高60位を記録した。

Until the Quiet Comes

01 All In
02 Getting There (featuring Niki Randa)
03 Until the Colours Come
04 Heave(n)
05 Tiny Tortures
06 All the Secrets
07 Sultan's Request
08 Putty Boy Strut
09 See Thru to U (featuring Erykah Badu)
10 Until the Quiet Comes
11 DMT Song (featuring Thundercat)
12 The Nightcaller
13 Only If You Wanna
14 Electric Candyman (featuring Thom Yorke)
15 Hunger (featuring Niki Randa)
16 Phantasm (featuring Laura Darlington)
17 me Yesterday//Corded
18 Dream to Me

2012年9月にワープレコードからリリースされたフライング・ロータスの4枚目のアルバムである。前作「Cosmogramma」に引き続き、ベーシストのサンダーキャットと共同で制作作業を行なった。彼は今作をロサンゼルスにある自宅で2年間かけて制作した。今作ではゲストボーカリストとして、ローラ・ダーリントン、エリカ・バドゥ、レディオヘッドのトム・ヨークを迎え入れている。
今作からは「See Thru to U」と「Putty Boy Strut」の2枚のシングルとアルバム収録曲を使用したショートフィルムがプロモーション用に制作された。2012年には大規模なツアーを行なっている。前作同様にジャズの要素が強くあるが、リバーブがかかった曖昧で浮遊感のあるドリーミーなサウンドも特徴的である。

You're Dead!

01 Theme
02 Tesla
03 Cold Dead
04 Fkn Dead
05 Never Catch Me (featuring Kendrick Lamar)
06 Dead Man's Tetris (featuring Captain Murphy and Snoop Dogg)
07 Turkey Dog Coma
08 Stirring
09 Coronus, the Terminator
10 Siren Song" (featuring Angel Deradoorian)
11 Turtles
12 Ready err Not
13 Eyes Above
14 Moment of Hesitation
15 Descent Into Madness (featuring Thundercat)
16 The Boys Who Died in Their Sleep (featuring Captain Murphy)
17 Obligatory Cadence
18 Your Potential // The Beyond (featuring Niki Randa)
19 The Protest

今作は2014年10月6日にワープレコーズよりリリースされたフライング・ロータスの5枚目のアルバムである。これまでより分かりやく生演奏の割合が多くなっており、電子音楽というジャンル分けでは括れないアルバムになっている。ゲストとして、ハービー・ハンコック、ラッパーのスヌープ・ドッグ、ケンドリック・ラマー、元ダーティー・プロジェクターズのデラドオリアン、ニキ・ランダ、そして盟友のサンダーキャットが参加している。70年代にリリースされたマイルス・デイビスのアルバム「Bitches Brew」から強い影響を受けている。本作からはケンドリック・ラマーが参加した「Never Catch Me」がシングルとしてリリースされている。アルバムアートワークは日本の漫画家である駕籠真太郎が担当している。

Flying Lotusの代表曲

1983

2006年にリリースされたフライング・ロータスのデビューアルバムの冒頭を飾る曲である。
エリスンが幼い頃からファミコンなどゲームに親しんできた影響が出ている曲で8ビットのサウンドがメインメロディーになっている。
この曲でエリスンは冨田勲の「沈める寺院」というドビュッシーの曲をシンセサイザーでカバーした曲をサンプリングしている。

Unexpected Delight

1iPato_poti1212
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@1iPato_poti1212

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