怪奇大作戦(円谷プロ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『怪奇大作戦』とは、1968年9月から1969年3月までTBS系で放送された特撮テレビ番組。
円谷プロダクション制作。全26話。
現代社会で発生する科学犯罪に挑む科学捜査研究所「SRI」の活躍を描く。
21世紀に入り、3作のリメイクが制作された人気作品。

次郎(演:中島洋)

SRIの助手をしている少年。野村と共に行動することが多い。凶悪犯罪と少年の取り合わせが悪かったのか、レギュラーとしては第1話から第3話までしか出演していない。その後は第11話に登場した。

SRIの装備

SRIジャケット

特殊繊維で作られた防護服。防弾防刃性の他、耐熱耐寒性も持っている他、携帯性にも優れ、普段はポケットに収まるケースに収納されている。ベージュをベースに茶色いキルティングが入っている。主に犯人を追う場面で着用する。ウルトラシリーズの防衛組織ユニフォームに類する衣装だが、使用頻度は高くない。

ケミカルメース

薬品を噴射する拳銃型のスプレー。準備段階では多用する予定があり、放映当時は雑誌記事などで大きくプッシュされたが、劇中には登場しない。唯一撮影された使用場面が放映時にカットされてしまった悲運の秘密兵器である。

トータス号

特殊装備を満載した小型車両。堅牢だが小型なため定員は2名に限られる。『果てしなき暴走』では盗難にあった末ひき逃げ事故を引き起こす事となった。

印象的な回

壁ぬけ男

第1話。1968年9月15日放送。

世間を騒がせる怪盗・キングアラジンがとある寺に予告状を出した。警察の警備をかいくぐって忍び込んだキングアラジンは仏像を盗むが、逃走を試みた際に警官に見つかる。追い詰められたキングアラジンは煙を放ちながら壁の中へと潜り込み、高笑いとともに逃走に成功した。続けて宝石を盗む予告状を出したキングアラジンは、町田警部たちに見せつけるように地面の中へと消え、再び逃走に成功する。
町田警部に助力を持ちかけられたSRIは調査を開始、手品然とした手口から奇術師の助言を借りるなどするが埒が明かない。そんな中、キングアラジンは新たな予告状を突きつける。歌舞伎の舞台に用いられる時価1億5千万の秘宝「鬼玉」を盗むというのだ。
役者に成り代わって鬼玉を盗み出したキングアラジンは三度壁の中へと姿を消す。道行く人にぶつかりながらセスナを奪って逃走を図るキングアラジンだが、その姿は全く見えなかった。セスナからは大量の鳩が飛び出し、それにSRIや町田警部が気を取られているうちに脱出を図るキングアラジン。しかしその様子をSRIの牧が撮影していたことから顔が割れ、犯人が稀代の奇術師・一鉄斉春光と判明する。犯行時のトリックも牧によって看破された。キングアラジンは周囲の光を鏡のように偏光させるガス状の繊維をばら撒き、姿を消していたのだ。壁ぬけそのものがトリックから目をそらすためのパフォーマンスだったのである。
警察に踏み込まれ、妻の紫乃によって犯行をバラされた春光は特殊繊維をまくが、SRIは特殊繊維に対抗するスペクトル破壊器を開発していた。もはやここまでと湖畔へ逃走した春光は、脱出マジック用の箱に入り、湖の中へ潜って逃走を図る。脱出マジックは彼のお家芸だったが、同時に十年前に失敗し、表舞台から姿を消す原因となったマジックでもあった。
箱をつなぐロープが切れ、箱は海底へ落下。亀裂が入り、水圧に潰されてしまう。キングアラジンこと一鉄斉春光は、ここに命を落としたのだった。

円谷お得意の光学合成を用いた「壁ぬけ」演出の特撮を「偏光による壁ぬけトリック」として描きつつ、本作のメインテーマである「科学の悪用」を描くための「特殊繊維」という物理トリックだけでなく、壁ぬけに注意を向けさせながらも実際には壁をぬけていないというミスディレクションに重きをおいた心理トリックも複合させた謎解きや、SRIの科学力を証明するスペクトル破壊器の登場、有名人の名声の変化が引き起こす悲哀を描いたドラマにも引き込まれる珠玉の名編である。

かまいたち

第16話。1968年12月29日放送。

女性のバラバラ殺人事件が発生する。悲鳴が聞かれておらず、出血も少ないことから死体遺棄と考える町田に対し、牧は現場での犯行と考える。現場にはおしろいが落ちており、拾い集めた形跡があったからだ。野次馬の中に微かに笑っている青年を見つける牧。
その夜、同じ場所で再びバラバラ殺人が行われる。警官の目の前での犯行だった。女性は誰に襲われるでもなく、警官の前でバラバラになってしまった。
現場の状況や警官の証言から、SRIは凶器をかまいたちとして知られる真空によって起こる裂傷の原理を応用したものと推理。調査をすすめる。自身が遭遇したかまいたちの思い出話をする的矢と、突然巻きこまれてしまったらどうしようもないというさおり。
警察が犯罪に手を染めそうな人間をリストアップする中、SRIの捜査線上に上がったのは小野松夫という青年だった。現場で撮影された彼の写真から、牧は何か言い知れないものを感じ取る。
松夫は現場近くの工場で働く、品行方正な青年だった。休憩時間に仲間の輪から離れる傾向があり、おとなしくて無口だが仕事は真面目だという。通信教育を受けており、勉強熱心な良い若者だという工場の社長。牧は松夫の日記を目にするが、事件の日は空白になっていた。
休日、郷土の友人たちと楽しそうに笑い合う松夫。しかしレストランでアロワナが金魚を食べる様子を見るなり、突然何処かへ去っていってしまった。同日夜、SRIは実験に成功。真空による犯行が可能との結論が得られるが、同時に第三の事件が発生。女性が連れていた犬がばらばらになってしまう。証拠も動機も伺えない違和感と、さらなる事件の予感に襲われる牧。SRIはこれ以上の被害を出さないため、さおりを使った囮捜査を開始する。
夜道を歩くさおりを狙う、目出し帽をかぶった男。さおりは途中で機械仕掛けの釣り人形に入れ替わる。人形はかまいたちに襲われ、ばらばらになる。犯行に気付いた牧たちは男を発見、取り押さえる。帽子の下にいたのは松夫だった。囮作戦の概要を聞かされていなかった野村は怒りを露わにするが、松夫は何も言わない。
取り調べにも黙する松夫。彼の様子を見ながら、理由の見つからない殺人に戸惑う牧のモノローグで物語は幕を閉じる。

時を経る度に評価が上がっていく怪作である。一言で言い表すならば、後に衆目を集めることになる「理由なき殺人」を描いた作品と言える。しかし、単にこの一言で片付けられない空気が作品全体を覆っているのが本話の印象を強めているのである。
群衆の中で一人違和感を醸し出す松夫。その松夫の持つ何か言い知れないものを感じ、直感のみで追いかけ続ける牧。警察と違い犯罪と関係ない者まで調査対象を広げたSRIは、事務所の床一面を写真に埋めてまで容疑者を探し続ける。今までの事件とは違い、楽観的に理詰めで犯人が見つけられるという態度を崩さない警察。
1960年代、政府の所得倍増計画に伴い核家族化、単身化が進行し、都会では個人の孤立と人々の繋がりの薄さが如実になった。そんな社会を背景に、松夫という青年は描かれている。数多の動機の繋がりに対する問いかけが作中には登場するが、本話では誰ひとりとして具体的な回答を出すことができない。松夫という青年の内面にはついぞ踏み込めないままストーリーは終わってしまう。それ故に、本話は多くのドラマで登場した「本当に理由のない殺人」とは大きく違い、動機があった可能性もが最後まで残されていることに、視聴者は気付かされるのだ。
あらすじを書き出すだけでは語り得ない何かが、作品全体を支配している。見る人によって理解が大きく変わる、センセーショナルな私小説のような作品である。

殺人回路

第20話。1969年1月26日放送。

最新式コンピューターを導入した神谷商事。このコンピューターは、音声化装置を利用して人間と会話できる高度なものだった。
神谷商事社長の清五郎と、彼の息子で同社専務の清一郎の間で口論が発生する。清一郎が独断で系列子会社との契約を切ったのだ。清一郎はその理由をコンピューターによる計算だと言った。
清一郎を追い払った清五郎はコンピューターに計算結果を確認する。林物産は早晩倒産するというコンピューター。林物産は絶対に潰させないと断言する清五郎に対し、コンピューターは清五郎の命は後30秒しか無いという。
驚愕する清五郎の背後にあるダイアナの絵画から、ダイアナが抜け出てくる。画に書かれたとおり弓矢を構えるダイアナ。まるで射られたかのように胸を抑えて命を落とす清五郎。
的矢の級友、伊藤大輔がSRIに電話をかけてきた。神谷商事の重役候補だった伊藤は、清五郎の後を継いだ清一郎に配置転換を命ぜられていた。が、彼が電話した目的はその愚痴ではない。清五郎の初七日に、社長室にあったダイアナの絵画そっくりな女性が消えるのを見たという。伊東に神経的な異常は伺えない。社長の突然の死と合わせても怪事件と言うほどの事態ではなかったが、的矢は調査を開始する。
清一郎はプログラマーの岡を使い、コンピューターを用いた社内粛清計画を進めていた。コンピューターが清一郎の敵を計算ではじき出し、岡が作成したプログラムで社内の敵を消していく。ダイアナの絵画そっくりな女性はこの人殺しプログラム「殺人回路」の産物だったのである。
的矢と牧は調査の途上で清一郎が口封じのためにプログラムに岡を殺させようとした瞬間に遭遇、彼を助けて話を聞こうとする。しかし、彼らを追いかけてきた女性は的矢たちをすり抜けて岡を狙い、命を奪ってしまう。
すり抜け現象から女性の正体をホログラムと見抜く的矢。コンピューターが画像を表示するために用いるCRTディスプレイ。これが女性のホログラムを産んでいたのだ。
ある朝、突如清一郎を狙い始める女性。誰が彼女に指示を出したのか。清一郎の問いにコンピューターだと答える女性。今回の事件の顛末を知る岡と清一郎を葬り、真相を闇に葬ろうというのだ。愕然としながら自身の罪を認めた清一郎の前に現れる的矢と牧。SRIは神谷商事に納品されたCRTディスプレイの設計図を入手し、夜間に回路を書き換え自白を引き出す武器に作り変えていたのである。
事件の真相を暴いた的矢と伊藤は、仲良く笑い会うのだった。

当時はまだ珍しかったコンピューターを用いた事件。本話の魅力は無駄を削ぎ落としたドラマにある。
CRTディスプレイをホログラフィ発生装置として登場させたり、肝心の殺しの手段が具体的に描かれないのはご愛嬌とも思えるが、これは作品を30分にまとめるための割り切りである。終盤までは最先端の科学技術により高度化した犯罪という『怪奇大作戦』のテーマを一段発展させ、犯人が自分で制御できないほど高度になったプログラムに襲われる、という科学技術に対する皮肉とも取れる筋書きが展開される。コンピューターによる機械的な判断を感情的に受け入れられない人間という対比を全編に渡り描くことで、『2001年宇宙の旅』に代表されるこの文芸的な筋書きを受け入れた視聴者に更なるどんでん返しが描かれるという多層的な物語は映画でもなかなか見られない超一級品のSFサスペンスなのだが、これを30分に落とし込んでいる完成度の高さは永遠に色あせない。

京都買います

第25話。1969年3月2日放送。

京都で次々と仏像が消える事件が発生し、調査に赴くSRI。牧は仏像を研究している藤森教授を尋ねた。藤森教授は現代の京都はあまりに変わりすぎ、仏像が安心して住める街ではないと語る。
藤森教授の助手、美弥子は仏像に心を奪われていた。さおりに連れられ仕方なくディスコにやってきていた牧は、美弥子が若者から京都を売るという誓約書を集めている様子を見かける。何をしているのかと問う牧に、美弥子は誰も京都なんか愛していないって証拠だと答えた。
二人して京の街を眺め、喫茶店に入り話を続ける美弥子と牧。互いに理解と溝を感じながら、惹かれ合っていく。
仏像が消える事件が再び発生し、現場を調べた三沢が奇妙な機械を発見する。的矢がそれをカドミウム光線を発生させる機械だと看破する。カドミウム光線は物質を分解し、伝送させる技術だ。仏像が消えた寺には必ず美弥子が訪れていたという。証拠はないが、美弥子が犯人である可能性が出てきた。
美弥子が仏像のある部屋に機械を仕掛けたことに気づく牧。機械を取り外し、受信装置の所在を突き止める作戦を提案する牧。
その日の夜、美弥子と藤森教授の前に仏像が転送されてくる。誓約書の山を見て嘆く藤森教授と、仏像たちの町を作ろうという美弥子。
そこへ、警察と牧が踏み込んでくる。教授は抵抗せずに検挙され、仏像たちが騒音とスモッグと観光客の目にさらされることを憐れむ。
対して美弥子は仏像以外のものを信じようとした自分が間違っていたと言い残し、夜の街へ逃走してしまう。
美弥子と巡った京の街を独り歩く牧は、ある寺で尼僧となった美弥子と出会う。お互いに忘れようと告げる美弥子。立ち去ろうとするも振り返った牧だが、そこには美弥子はおらず、代わりに涙を流す仏像が立っていた。牧は耐えきれず、その場から走り去っていった。

怪奇大作戦と言うと必ず名前が上がる話。TBSの生ドラマで手腕を発揮しはじめ、『ウルトラマン』『ウルトラセブン』では強烈な演出から多数のフォロワーを生み、後には日本唯一のロカルノ国際映画祭グランプリを受賞した稀代の名監督・実相寺昭雄が放映終了決定後だったため予算、時間ともに制約のゆるい中でこだわり抜いて撮影した京都ロケの1本である。実相寺昭雄の演出は京都の町の変化と喧騒をきっちりと描き出し、美弥子の心を代弁するような映像を生み出した。『怪奇大作戦』では唯一となるロマンスも丁寧に描かれるが、単なるラブストーリーでは終わらず、キャラクターやドラマが『怪奇大作戦』らしさを失うことなくまとめられて点でも秀逸である。
ドラマとしての面白さだけでなく、仏像が消える特撮の完成度もまた評価されている。なんとこの映像、実際に仏像を動かして撮影したのだという。普段の映像と、仏像を動かした後の映像を撮影し、これをつなぎ合わせると仏像が消失するという寸法である。寺を口説き落とし、全面的な協力を得て撮影されたこのくだりは、まさか本当に仏像を動かすわけがないと思った多くの視聴者や関係者を驚愕させたという。

『怪奇大作戦』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

クレーム殺到!最高の特撮映像はミスから生まれた

ウルトラシリーズの後を受けて制作された『怪奇大作戦』だが、本作は前番組である『ウルトラセブン』や『キャプテンウルトラ』、『ウルトラマン』と違い、派手な特撮シーンが殆ど無い。そんな中、唯一派手といえる特撮シーンが『呪いの壺』のクライマックスにある。
この話は本作のみならず、特撮史上でも類を見ない激賞を受けている作品である。しかし、作中で描かれるストーリーそのものはシリアスだが特筆性を持つわけではなく、『京都買います』と並行して本話を監督した実相寺昭雄の演出も『京都買います』と対照的とも言えるほど堅実に落ち着いてしまっている。しかし、クライマックスがこれらの全ての欠点を拭い去り、激賞を受ける程の一大特撮絵巻となっているのだ。
以下、そのくだりを紹介したいと思う。

事件に使用された凶器、日光にあたると熱を生むリュート線を放出するリュート物質が寺にばらまかれてしまう。
寺の本堂はリュート線の影響で燃え上がり、牧や町田が見ている前で焼け落ちてしまう。

以上である。時間にすれば1分にも満たない、ただの火事なのだが、ただの火事というのがみそなのだ。
なんど見ても、本当に寺が燃えているようにしか見えない。炎に煽られ崩れる瓦の一枚一枚までもが確認できる。映画でも絶対にお目にかかれない完成度の、本当の火事とほとんど変わらない映像となっている。
監督を勤めた実相寺昭雄は、後年このシーンを「自分が手掛けた中で唯一成功したと思える特撮」と明言している。後に一般映画に進出し、テレビとは比べ物にならない予算を使っての特撮作品もいくつも手掛けた中での発言である。彼のこだわりがこの映像を産んだのだろうか?
あるいは特殊技術を担当し、後には本編監督も勤めるようになった大木淳(芸人のビビる大木とは別人)の手腕であろうか。はたまた後に大ヒットする『帝都大戦』(1988年、東宝)でタッグを組むこととなる二人の息がこの時点でぴったりだったのか?
と、完成度を高めるための工夫があるんじゃないかと思わされる必見のシーンなのだが、実はこの場面、単なるミスから生まれたのである。
怪奇大作戦は、前述の通り派手な特撮を殆ど使っていなかった。この話ではクライマックスに寺の炎上シーンを描くためにミニチュアセットを組むこととなったが、これが唯一の本格的ミニチュア特撮となった。
『ウルトラマン』『ウルトラセブン』では巨大ヒーローの身長に合わせるため、基本的に1/20スケールでミニチュアを組んでいた。きぐるみのタッパも合わせて2メートルの人間を1/20のミニチュアの中に立たせると、身長40メートルの巨大ヒーローが完成するわけである。今回はこのような比較対象が画面に映らないため、スケールを自由に決められた。
怪奇大作戦は特撮場面の少なさから、予算があまり気味だった。そのため、金額面でも好きなようにミニチュアを発注できる。
スタッフは予算をつぎ込み、1/9の精巧な寺のミニチュアを作ることとした。瓦も再現し、木組みもしっかりと再現する。寺の協力もあり、詳細な図面が作られ、これをスケールダウンして木材やら瓦やらを発注した。
しかし、撮影スタッフのもとに送られてきたのはとても大きな瓦だった。計算をしくじって、本来発注すべき大きさの3倍、つまり1/3用の大きさで発注してしまったのだ。
幸いにも特撮に使うステージにこの大きさでセットが組めることが判明すると、スタッフは仕方なくこのサイズで撮影することにした。木材は流用が効くが、瓦は流用が効かない。かといって、1/9の瓦を再発注する予算はなかった。瓦の価格は他のパーツより価格が高かったのだ。
こうして、寺の燃えるシーンは1/3スケールのミニチュアで撮影された。本物が燃えているようにしか見えないはずである。なにせ、ミニチュアとはいえ普通の平屋建てくらいの大きさの物を燃やしたのだから。更に、こだわった分だけ中身も本物と変わらない。尚の事本物に見えても仕方がない。
DVDレンタルやネットの動画配信で『怪奇大作戦』の『呪いの壺』を見れる機会に恵まれたら、ぜひともこのシーンだけは見てほしい。本物と見まごうような迫力のスペクタクルシーンは、特撮好きでなくとも衝撃をうけること間違い無しである。
さて、こうして発注ミスにより完成度の高い場面が完成したのだが、これでめでたしめでたし……とはいかなかった。
テレビ放送を見た視聴者が、本当に寺を燃やしたと思ってTBSに抗議の電話を入れたのである。それも、1件や2件ではなかったらしい。モデルとなった寺には、檀家から心配の電話が多数かかってきたという。
後々も完成度が高すぎる、つまり本当に寺を燃やしているようにみえるてしまうとトラブルの種になるため、一部の再放送では放映後に「ミニチュアを燃やした映像である」と断りのフリップを差し込む対応を行う必要に迫られた。ハイビジョン全盛期の21世紀になっても、NHKBSハイビジョンでの再放送の際に、同様のフリップが使用された。テレビが進化してもリアリティを失わない完成度という証左であるが、他の話、他の作品とは違う独自の対応を取らなければならないというのはネックだ。
完成度が高いことも良し悪しがあるということがよく分かるエピソードである。

第24話『狂鬼人間』について

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ウルトラマンブレーザーの怪獣・宇宙人まとめ

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人類と地球を脅かす敵と戦う防衛隊と、それを助ける光の巨人の活躍を描く『ウルトラマンブレーザー』には、姿も能力も異なる怪獣や宇宙人が毎回登場する。巨大な怪獣が暴れ回る様は、日本でもっとも有名な特撮作品である『ウルトラマン』シリーズの見せ場であり、その圧倒的なスケール感で長年ファンを魅了し続けてきた。 ここでは、時に凶悪な暴威を振り撒き、時に邪悪な侵略の魔手を伸ばし、時には友好的に接しようとしながらも擦れ違いから悲劇を生む『ウルトラマンブレーザー』の怪獣と宇宙人を紹介する。

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大人向けウルトラマン?ウルトラセブンの印象的なエピソード集

大人向けウルトラマン?ウルトラセブンの印象的なエピソード集

モロボシ・ダンの名を借りて僕らの幸せを守るウルトラセブン。 この深紅のヒーローは当時の子供たちは勿論、現代の大人までも魅了している。 何故子供たちだけでなく大人たちの心までも掴むのか。 それはただ単にかっこいいだけでなく、深い問題提起に富んだエピソードが多いからである。 本記事ではウルトラセブンの印象的なエピソードたちを紹介する。

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ウルトラマンなどの成田亨のデザインの世界

ウルトラマンなどの成田亨のデザインの世界

1966年に生まれ、今も作品が作られ続ける「ウルトラマンシリーズ」。「ウルトラマン」の初期シリーズで、ウルトラマンなどのデザインで作品を支えたのが、彫刻家・成田亨だ。ウルトラマンのみならず、怪獣、メカニック、コスチュームなど、成田亨のデザインワークスは古びないものだ。 そういった、成田亨のデザインを紹介したい。

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