六花の勇者(ラノベ・漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

「六花の勇者」とは2015年7月から9月まで放送された日本のテレビアニメ作品。アニメ制作会社のパッショーネが製作した。全12話。原作は同名の小説で著者は山形石雄。
世界を支配しようと復活を目論む魔神を倒すために選ばれたのは「六花の勇者」と呼ばれる六人の勇者たち。しかし集まったのは七人だった。王道のファンタジーとミステリーを絡めた異色作。

『六花の勇者』の概要

2015年7月から毎日放送他テレビ局で放送されたアニメ作品。制作をパッショーネが手掛ける。監督は高橋丈夫。キャラクターデザインを小磯沙矢香が担当。
原作は同名の小説で著者は山形石雄。イラストは宮城。原作は現在6巻まで刊行中。
シリーズの累計発行部数は25万部を突破。1巻のみで10万部を突破している。
本作は原作1巻を基に構成されている。
キャッチコピーは「この中に、偽物がいる…」
世界を支配しようと目論む魔神を倒すべく、女神に選ばれた六人の勇者「六花の勇者」が集う伝説があったが、実際に集まったのは七人だった。偽物の一人として真っ先に疑われた少年アドレットは無実を証明するため一人奔走する。

『六花の勇者』のあらすじ・ストーリー

千年前「魔神」と呼ばれる魔物が突如現れ、大陸に住む人間を殺し始めた。魔神は自らの体から「凶魔」という化け物を生み出し、さらに人間たちを襲い世界を支配しようとしていた。大小さまざまな国が崩壊し、人々は死を受け入れるしかなかった。その時、人智を超えた能力を持つ女性、「一輪」の聖者が現れた。
長い戦いの末、聖者は魔神を西の果てにある半島に封印することに成功する。
封印が解け、魔神が再び人間たちを襲うことを危惧した「一輪」の聖者は、自らの「一輪」の力を六つに分け、後世に遺した。
「一輪」の聖者が建てた、運命神を司る神殿で強さを示した六人が「一輪」の力を受け継ぎ、勇者として選ばれる。
勇者たちの体の一部に六枚の花弁を象った六花の紋章が現れることから、彼らは「六花の勇者」と呼ばれた。
700年前と300年前に六花の勇者が現れ、魔神は再び封印された。
しかし10年前から大陸に侵入する凶魔が増加。人々は魔神復活の恐怖に怯えていた。

幕開け

アドレットは六花の勇者に選ばれるため、ピエナ王国で行われる運命神を祀る神殿前での神前武闘会の準決勝戦に乱入した。アドレットは勝利するものの、煙幕や毒矢などの道具を用いる戦いぶりから「卑劣戦士」と呼ばれ牢屋に入れられる。しかしアドレットに六花の紋章が現れ、六花の勇者に選ばれる。アドレットは同じく六花の勇者に選ばれた、同国の王女であり、「刃」の (神の力を授かった) 聖者ナッシェタニアの手により脱獄。
二人は六花の勇者の集合場所である、西の果てにある半島、魔神がいる「魔哭領」の入口を目指す旅に出る。

鉄岳の国グエンバエア

アドレットとナッシェタニアは魔哭領がある半島に近い鉄岳の国グエンバエアに着く。
ナッシェタニアから六花の勇者候補となる聖者や強者を殺す「六花殺し」の存在と、一ヶ月前から「太陽」の聖者リウラが行方不明になっている噂を聞き、アドレットは気を引き締める。
グエンバエアに着いて間もなく、凶魔たちが現れ村人を襲い始めていた。周辺の凶摩を退治した後、村人から旅の少女が村に取り残されていると聞いたアドレッドは、ナッシェタニアの制止を振り切り単身で村へ向かう。村にたどり着いたアドレットだったが、凶魔はすべて旅の少女の銃弾によって倒された後だった。
旅の少女、「火薬」の聖者フレミーも六花の勇者だった。
アドレットはフレミーを歓迎するが、フレミーは仲間であるはずのアドレットに銃を向ける。フレミーは一人で魔神を倒したいらしく、他の勇者たちと協力するつもりはないと言う。フレミーはアドレットの前から姿を消したが、仲間同士の協調を重んじるアドレットは説得するためにフレミーを追いかける。

一方、ナッシェタニアは同じく六花の勇者となったゴルドフと合流した。
ゴルドフはピエナ王国の最強騎士。ナッシェタニアの命令で六花殺しの犯人フレミーを追っていた。
フレミーに半ば強引に付いてきたアドレットはグエンバエアの砦に立ち寄る。
二人は砦の指揮官ローレンから「霧幻結界」の話を聞く。
それは凶魔が大陸に侵入するのを防ぐためのものだった。
霧幻結界が発動すると同時に霧が発生し、結界を解除するまで発生した領域からは人間であろうが凶魔であろうが侵入も脱出も不可能になるという仕組みだ。
グエンバエアの兵士たちは結界を利用して凶魔を足止めし、六花の勇者を手助けするつもりでいた。
六花の勇者が誰も知らないと不都合であることから、結界の発動方法を教えてもらった二人は、さらに二日前に砦を訪れたもう一人の六花の勇者であり、「山」の聖者モーラの存在を知る。
モーラは聖者たちを統括する万天神殿の長でもある。
魔神が封印された摩哭領と大陸を繋ぐ場所に結界を発動させるための神殿があり、神殿が六花の勇者たちの集合場所に近いことから、モーラは先行して神殿へ向かっていた。
二人は神殿を目指すために砦を出発した。

砦を出たアドレットとフレミーはナッシェタニアとゴルドフと合流するが戦闘になる。フレミーこそ六花殺しの犯人だった。
魔神を復活させるために、六花の勇者候補となる聖者や強者たちを始末してきたことをフレミーは認めたが「太陽」の聖者リウラを殺していなかった。アドレットは今のフレミーは魔神を倒すために行動していることから三人に停戦を持ちかける。アドレットの説得で四人は協力して神殿を目指した。

猛烈な暑さの中、神殿まで目前というところでアドレットたちは凶魔の群れに遭遇した。
ナッシェタニアの提案で彼女たちが凶摩たちの足止めをする間にアドレットは一人神殿に向かう。
神殿の入口で女性が倒れていたので介抱しようと近づくと、それは女性に変身していた凶魔だった。追いかけようとするが凶魔は逃げてしまう。
その時アドレットは異変に気付く。
気温が急激に下がり、辺り一面霧に包まれていたのだ。

神殿の中でアドレットはナッシェタニア、ゴルドフ、フレミーと合流した。
霧が発生し結界に閉じ込められたことに動揺したナッシェタニアは、祭壇の台座に刺さっている結界の発動に使う宝剣を使って石板を壊し発動を止めようとする。
結界が解除されることはなく、物音を聞きつけて「沼」の聖者チャモ、続いてモーラと「殺し屋」のハンスが現れる。
ここで集合した六花の勇者が六人ではなく七人であることから、一人が勇者に成りすました敵であることが発覚する。

霧幻結界

偽物がいることで誰もが疑心暗鬼になる中、真っ先に疑われたのは六花殺しであるフレミーだった。フレミーを拘束したものの、モーラの提案で確認のために一人ずつ神殿に着くまでの経緯を説明した。
その結果、アドレットより先に神殿にたどり着いた者がいなかったことから、アドレットが嘘をついて結界を発動させ、六花の勇者を閉じ込めた敵だと疑われる。
ハンスから攻撃を受けたアドレットは怪我を負いながらもフレミーを人質に取り神殿から逃走する。
逃走した森の中でアドレットはフレミーから傷の手当てを受けていた。
礼を言うアドレットだが、フレミーは武器を持たずに連れ去られたため、仕方なく面倒を見ているだけでアドレットを信用していなかった。
アドレットは信じてもらうためにフレミーに身の上話をした。

アドレットが10歳の頃、住んでいた村に一体の凶魔が現れた。それは人型で人語を話す奇妙な凶魔だった。その凶魔は村人たちを襲うことはなかったが魔神の支配下に入ることを要求した。そして「反抗した村人の心臓を抉って持ってくるように」とも言った。
姉のシェトラと親友のライナは支配下に入ることに反対し、アドレット一人を逃がすために殺された。
アドレットは凶魔を倒すために凶摩退治の専門家であるアトロ・スパイカーに弟子入りした。「亡くなった姉と親友の存在があったからこそ今がある」と語ったアドレットの言葉に呼応してフレミーも自身の過去を語った。

アドレットの村に現れた凶魔テグネウはフレミーの母親にフレミーを産むよう指示した凶魔でもあった。
フレミーは人間の父親と凶魔の母との間に生まれたハーフであり、周囲の仲間に認めてもらうため何より愛する母のために魔神に尽くすと決めて育った。
そのために魔神の敵である六花の勇者の弱体化をねらって勇者候補と成りうる人物を殺害していったがチャモの抹殺に失敗した。
失敗したことで用済みとされたフレミーは、仲間だけではなく母親にまで殺されそうになり逃げ続けた。母の愛は見せかけであったことに絶望したフレミーは母への復讐のために魔神を倒すことを決意した。
「信じて裏切られるくらいなら初めから誰も信じない」、そう言ってフレミーは一人神殿に戻っていった。
フレミーが神殿へ戻った翌日、勇者たちはアドレットの捜索で神殿を離れていた。
疑いを晴らすために神殿へ向かうアドレットを待ち構えていたのはハンスだった。ハンスはアドレットより上手で猫のようなしなやかな剣術でアドレットを追い詰めていく。ハンスは殺し屋の術でアドレットに死に際の錯覚を見せ、その反応から偽物でないことを確かめた。
ハンスの信頼を得たアドレットは神殿の調査をした後、再び森へ潜伏した。

アドレットを疑うモーラは姿を見せない彼に業を煮やす。「山」の力の一つである山びこを使って、「ハンスがアドレットに襲われ一命を取り留めたが危険な状態である」と嘘を広めてアドレットを即刻始末するように伝えた。ハンスをチャモに監視させ、モーラは森へ駆けた。
モーラの言葉を聞いたナッシェタニアとゴルドフはアドレットを探す。フレミーはアドレットと遭遇し、銃声で居場所を教え、そこへモーラが現れた。二人に追い詰められたことでアドレットは降伏する。
アドレットは神殿の調査結果を二人に話し出す。
そのために使ったスプレーのような道具を取り出し、フレミーの銃弾に噴きかけた。
するとフレミーが触れていた部分のみ赤く光って反応した。
ハンスと神殿を調査した時に祭壇に噴きかけたが赤く光らなかったことを伝えた。
つまりそれはフレミーが結界を発動させることができなかったことを示していた。

身の潔白を証明してくれたアドレットをフレミーは初めて信用した。
モーラ、合流したナッシェタニアとゴルドフに襲われるアドレットをフレミーは逃がした。
ナッシェタニアはフレミーの足止めを振り切り、アドレットを攻撃し重傷を負わせる。
アドレットたちはいつの間にか神殿へ向かう途中に凶魔の群れと遭遇した場所にたどり着いていた。
アドレットは意識が遠のき、体が冷えていく感覚に違和感を覚えた。
神殿に着くまでは異常に暑かったのに、霧が発生した頃には急激に気温が下がっていたことを思い出したのだ。

モーラたちに追い詰められたところでハンスとチャモが合流した。
ハンスとチャモはアドレットに協力し、二人で神殿にある宝剣と石板のスペアを見つけるのに時間がかかり合流に遅れていた。
ハンスが無傷であることに気付いたナッシェタニアとゴルドフはモーラに疑いを向ける。
全員が揃ったことでアドレットは七人目が仕掛けたトリックを披露する。
アドレットが最初に神殿に着いた時に発生した霧は、結界が発動したものではなく自然現象で発生させたものだった。
それは七人目が一ヶ月前に「太陽」の聖者リウラを誘拐したことから始まっていた。
七人目はリウラを脅迫し、一ヶ月かけて神殿の周辺の気温を上昇させた。
アドレットが神殿にたどり着いた時にいた凶魔が合図を送り、合図を聞いた別の凶魔がリウラを殺害した。リウラが死亡したことで「太陽」の能力は無効化され、気温が急激に下がったことで霧が発生した。
その証拠に倒した凶魔の群れの一体からリウラの遺体が発見された。

「霧が発生した=結界が発動した」と皆に勘違いをさせた七人目は事前にグエンバエア砦の指揮官ローレンと結託し、六花の勇者に本当の結界の発動方法を教えさせなかった。
ハンスとチャモが見つけたスペアの石板にはローレンに教えられていたのとは別の発動方法が記されていた。
七人目は混乱に乗じて祭壇に近づき正しい方法で結界を発動させた。
石版には「宝剣を握って血を伝わらせ所定の言葉と共に石板を壊すこと」と書かれていた。
石板を壊していたのはナッシェタニアだった。

幕引き

ナッシェタニアは遂に自分が七人目であることを認めた。
アドレットを七人目に仕立て上げ殺すつもりであったことを告白した。
さらに六花の勇者を全滅させることを画策していた。
理由は魔神を復活させるため。
人間と凶魔が共存し、争いのない平和な世界を作るために凶魔の心を入れ替えさせ、人間と和睦を結ばせること。
そのためには魔神と交渉する必要があるため、魔神を倒そうとする六花の勇者たちを殺さなければならなかった。
和睦を結ぶために人間側の犠牲者が50万人になろうとも構わないと言い切ったナッシェタニアをアドレットたちは捕まえようとするが、ナッシェタニアは結界を解除し逃走してしまう。
結界が解けたことで、魔哭領を目指すことになったアドレットたちの前に一人の少女が現れる。
少女の名前はロロニア。「鮮血」の聖者だった。
そして彼女にも六花の紋章があった。
つまり裏切り者はもう一人いることが判明する。
裏切り者が誰か分からないまま、七人は魔哭領を目指す。

『六花の勇者』の登場人物・キャラクター

六花の勇者

アドレット・マイア(CV : 斉藤壮馬、少年期/沢城みゆき)

自称「地上最強の男」。18歳。紋章の場所は右手の甲。
姉と親友を凶魔に殺されたことから復讐のため10歳の時にアトロ・スパイカーに弟子入りする。武術に秀でているわけではないが、薬物や化学の知識を活かしてさまざまな秘密道具を駆使して戦う。ピエナ王国ではその様子から「卑劣戦士」と呼ばれる。

ナッシェタニア・ルーイ・ピエナ・アウグストラ(CV : 日笠陽子)

ピエナ王国の第一王女。「刃」の聖者。18歳。紋章の場所は鎖骨部分。いたずら好きで自由奔放。
自分の性格を知ってするのか知らないでするのか、周囲を振り回していることが多い。

フレミー・スピッドロウ(CV : 悠木碧)

「火薬」の聖者。紋章の場所は左手の甲。人間の父親と凶魔の母親との間に生まれたハーフ。そのため左右の瞳の色が異なる。当初は魔神側に付き、六花の勇者候補と成りうる聖者を抹殺してきた。ところがチャモの始末に失敗し、家族から殺されそうになったため復讐として魔神を倒すことを決意する。

チャモ・ロッソ(CV : 加隈亜衣)

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